突然の「遠距離介護」、月々かかるおカネはいくら…?柴田理恵さんが明かす「介護との向き合い方」
「孤独死しても恨まない」
遠距離介護を継続していた柴田さんだが、コロナ禍を経験し心境の変化もあった。 「コロナ禍で会えない時期は、タブレットを使ってリモートで会話をしていました。帰れなくてごめんなさいって伝えたら、母は『仕方ない。お前の体と仕事、両方大事にしてくれ』と言ってくれた。それで、私は無理して帰るのをやめました。東京から富山は往復6時間かかりますし、交通費もばかにならないですからね。 介護で大切なのは、やっぱり無理しないことだと思います。週1回必ず帰るとか厳密にしちゃうと、親子共倒れになってしまう可能性もある。周りからはわがままだと言われるかもしれませんが、他人にとやかく言われることではなく、親と子が納得していればいいんだと思います。同時に、気持ちを言葉で伝えることも大切です。恥ずかしがらずに感謝の気持ちを伝えて、不満があるならそれも聞いてあげる。 以前、母が全然着替えをしないとヘルパーさんから伝えてもらったことがあった。最初は母が弱ったからだと思ったんですが、よくよく聞いたら、洗濯をしてくれる親戚のお嫁さんに気を遣ってのことでした。そういうことも、ちゃんと話さないとわからないですから」 柴田さんの母親は'19年に「要介護2」になり、'22年の春には腸閉塞を起こして現在も入院生活が続いている。 「95歳になった母は今でも家に帰ろうと頑張っています。そこまでの気持ちがあるなら、もうあとは母の好きにさせるしかないと思っています。転んで頭を打って朝まで誰も来てくれなくても、それはお母さんの責任だからね、と。母は『孤独死しても誰も恨まない。化けて出ない』と言っています(笑)。母には母の幸せがある。それを尊重してあげることが、介護においては重要なんじゃないでしょうか」 親子それぞれにとって幸せな生き方は何かを考えたうえならば、遠距離介護という選択は決して親不孝ではないのだ。 『週刊現代別冊 おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』が好評発売中! 累計188万部の大人気シリーズが、大幅リニューアルでさらにわかりやすくなりました! 週刊現代の大反響記事を、加筆のうえ、ギュッとまとめた一冊です。
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