税金は「遅く生まれて、寿命が早いほうが90万円お得」と聞きました。子どもの「扶養控除」が廃止された今、本当にお得なのでしょうか?
「遅く生まれて、早く寿命を迎えるほうがお得」と聞いたことはありますか? 人間は生まれる日も死ぬ日も選べないので、「そんなこと言われても」という話ではありますが、実は税金面においては本当なのです。どうお得になるのでしょうか。本記事で解説します。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
「お得」になる理由は「扶養」に関係
生まれる日と死亡する日がお金に関係する理由は、税金の「扶養控除」に関係しています。扶養控除とは、所得税と住民税を計算する際に受けられる所得控除の1つで、課税対象となる所得を減らすことができます。 金額は扶養1人あたり38万円となっており、所得税率が10%(住民税は誰でも一律10%)の人の場合で7万6000円(38万円×20%)の節税につながっています。 扶養控除に該当する扶養親族は、基本的に年収103万円以下の6親等内の血族および3親等内の姻族で生計を共にしている人をいいます。つまり、扶養親族の代表例である子どもや高齢の親であればほとんどが該当するでしょう。
扶養親族を判断する基準日は「年末」または「死亡日」
扶養控除を受けるための扶養親族に該当するか否かを判断する基準日は、「年末」または「死亡日」となっています。つまり、子どもは生まれた年分から、扶養していた親が死亡した場合にはその死亡した年分まで扶養控除を受けられます。つまり、年内であればいつ生まれようと、死亡しようと同額の扶養控除が受けられるということですね。
「遅く生まれて、早く寿命を迎えるほうがお得」の真相
扶養控除は、誕生日、死亡日ともに、年内であれば同額です。しかし、生活費はどうでしょうか? 人は生きている間は食費をはじめとして何かしらお金がかかります。 要するに、2024年の1月1日に死亡しても、12月31日に死亡しても節税額は同じであるのに対して、生活費は約1年分違います。不謹慎な話ではありますが、お金の計算上の話だけで言えば、生活費に100万円かかったとすると、1月1日に死亡した場合より、扶養控除を差し引いた約90万円の損になるということですね。誕生の場合にはその反対です。 「遅く生まれて、早く寿命を迎えるほうがお得」というのは、そういう意味なのです。