飛行機の中での飲酒は危険!? 夏休みの旅行前に覚えておきたい体への影響を示唆
「飛行機が飛ぶのが怖い」「早く休暇モードに入りたい」など、理由は何であれ、機内でカクテルなどのアルコール類を注文するのは、まったく珍しいことではない。だが、新たに発表された研究結果を知れば、「お酒を飲むのはやめておこう」と思う人もいるかもしれない――。 【写真】お酒を飲まなくなると体に起こること8つ 医学誌『ソラックス(Thorax)』に発表された研究結果によると、機内での飲酒は、体に思わぬ悪影響を及ぼす危険性があるという。 ドイツ航空宇宙センターの研究者からなる研究チームは、旅客機の客室のような気圧の高い環境下で飲酒した場合に体に起きる変化について、特に睡眠の質と心臓の健康に対する影響について、小規模な調査を行った。
実験内容と結果
調査対象者は、18~40歳の健康な成人48人。まずはこれらの実験参加者を2つのグループにわけ、それぞれ半数の12人ずつに、ビール2缶またはグラス2杯のワインに相当する量のアルコールを摂取してもらった。 そして、2つのグループのうち飲酒した12人と、していない12人それぞれに、海面気圧または機内と同程度の気圧に調整した部屋で、4時間の睡眠をとってもらった。さらにその2日後、2つのグループは睡眠環境を交換して、同じ時間の睡眠をとった。 その後、それぞれの血中酸素濃度と心拍数を計測したところ、海面気圧の室内で睡眠をとった人の血中酸素濃度と心拍数は比較的、安定しており(以下、数値はすべて中央値)、血中酸素濃度は、飲酒した人が95%、そうでない人が96%だった(血中酸素濃度の正常値は、95%以上とされる)。 また、心拍数は海面気圧の室内で睡眠をとったグループのうち、飲酒した人が77bpm、していない人が同64bpmで、どちらも平均的とされる数値だった。 いっぽう、旅客機内と同程度の気圧に調整した環境下で睡眠をとった場合、飲酒した人としなかった人の血中酸素濃度はそれぞれ、約85%、約88%だった。また、心拍数は通常、睡眠中は低下するが、飲酒した人たちは約88bpmとなっていた。酸素濃度の低下を補うために、増加したと考えられるという。 そのほか、飲酒後に機内と同じような環境で睡眠をとった人たちは、飲酒していなかった人たちと比べ、睡眠の質も低下していた(睡眠サイクルのうち、レム睡眠の時間が減少していた)。