飛行機の中での飲酒は危険!? 夏休みの旅行前に覚えておきたい体への影響を示唆
アメリカ・カリフォルニア州サンタモニカにある「プロビデンス・セント・ジョンズ・ヘルスセンター」のリグベド・タドウォーカー医師は、「飲酒は脱水状態を引き起こすことから、血液が濃くなり、心臓が体じゅうに血液を送るのが難しくなります。特に、酸素が少なくなる高高度の環境ではそうなります」と説明する。 機内のような低酸素の環境下での飲酒は、血中酸素飽和度の低下と、心拍数の増加につながる。同医師によると、これら2つの状態が同時に起きることは、いくつかの理由から「注意すべきこと」だという。 「まず、血中酸素飽和度の低下(低酸素血症)が起きれば、心臓は生命の維持に重要な臓器に酸素を送るため、それまで以上に働かなければなりません」 「第2に、頻拍(頻脈)は心臓が早く動いていることを示しており、効率が低下していることです。心臓が体じゅうに十分な量の血液を送り出すポンプ機能が、低下しているということを意味します」 心臓にかかる負荷の増大は、心筋に影響を与える。特に、虚血性心疾患や心不全などの持病がある場合には、その影響が大きくなる。 タドウォーカー医師は、血中の酸素濃度が低い状態が長引けば、心筋梗塞や脳卒中を起こす原因にもなると指摘するほか、慢性的に心拍数が増えた状態は、心筋症などその他の心血管系の問題を引き起こすリスク因子であり、これもまた心臓に持病がある人にとっては注意すべき問題だと話している。 また、同時にアルコールと低酸素状態の影響を受けることは、冠動脈疾患や心房細動(不整脈)、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、睡眠時無呼吸症候群などの持病がある人にとっては、特にリスクが大きい。 そのほか、呼吸器系や循環器系の機能は加齢に伴い低下することから、機内は高齢者にとっても、これらの問題が起こりやすくなる環境だという。 睡眠については、同医師は次のように話している。 「長い飛行時間の間に最適な睡眠をとりたいという人も、飲酒を避けるべきです。アルコールは睡眠の質を低下させる原因になるほか、機内の低酸素の環境では、質の低い睡眠では体の回復につながらない可能性があるためです」