「地方創生」日本が抱える課題と歴代政権の政策
地方の雇用の現状
さらに、地域間の人口格差も広がっているのも深刻な問題でしょう。三大都市圏、特に東京圏への人口流入が拡大しています(図参照)。 また、地方創生には地域の雇用の創出もカギになりますが、有効求人倍率でみると、全国平均1.10倍(2014年8月)を下回っている自治体は27道府県(北海道、青森、岩手、宮城、秋田、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、静岡、滋賀、京都府、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)でした(厚生労働省「一般職業紹介状況(平成26年8月分)について」より)。ちなみに求人倍率でもっとも高かったのは東京都です。 東京に仕事もあるから、人口流入も進み、地方の人口減が進むという一面はあるでしょう。人口流出を防ぐには、その地域に仕事があるかということが大きいといえます。
過去の地域創生事業
これらの基本データを見た上で、政府による地域創生事業はうまくいくのでしょうか。過去の事業を見てみましょう。 ■竹下登内閣(1988-89年)「ふるさと創生事業」 全国の市区町村に対し使途自由の資金1億円を交付。各自治体が創意工夫して1億円を地域振興やまちづくりに活かそうというものだったが、各地に巨大建造物や純金建造物などが作られたりして、税金の無駄遣いと批判も強い ■小渕恵三内閣(1999年)「地域振興券」 15歳以下の子どもがいる家族と65歳以上の高齢者らに対し、2万円分の「地域振興券」を交付。使用期限が1999年4月1日から9月30日まで。1998年10-12月期から2000年1-3月期の国内総支出、国内家計最終消費支出を見ると、1999年4-6月期から7-9月期の額は微増(グラフ参照)。年末の支出のほうが大きかった ■第1次安倍内閣(2007年)「頑張る地方応援プログラム」 2007年度から3年間にわたり、地域活性化に意欲的な自治体に地方交付税の一部を重点配分するという支援策。3000億円程度の程度地方交付税による支援措置もあり、多くの自治体が応募した ■菅直人内閣(2011年)「地域自主戦略交付金」 国が使途を特定する補助金の一部を自治体が自由に使い方を決められる一括交付金に切り替えたが、2013年に廃止され、各省庁の交付金等に移行した