3億8000万円超え賞金王の古性優作が参戦...和歌山競輪G3記念「和歌山グランプリ」10日開幕
グランプリ覇者・古性が参戦! 25年の西日本グレードレース初戦となる和歌山競輪の開設75周年記念「和歌山グランプリ」(G3)は10日から4日間、熱戦が繰り広げられる。注目は昨年末の「KEIRINグランプリ」を制し、年間最高獲得賞金額の記録を更新した古性優作。近畿では窓場千加頼、東口善朋らが呼応し、盤石の布陣で臨む。ここにS班の新山響平や、好調の松本貴治らが立ちはだかる構図だ。 ■前代未聞の24年 2つのG1と「グランプリ」制覇。「オールスター」では初のファン投票1位に輝いた。稼いだ年間獲得賞金は3億8000万円超の新記録。終わりよければ、ではないが、古性の24年は文句の付けようがない一年だった。G1・3勝を挙げた23年に続き、「グランプリ」前に賞金2億円を超えていたのも前代未聞。裏返せば、大レースで安定して結果を残し続けてきた証左でもある。 ただ、おそらく本人は「安定」を嫌い、恐れている。昨年の「日本選手権」前には、自ら求めてナショナルチームの練習に参加。パリ五輪を直前に控え、本気で打ち込むメンバーに交じり、そして打ちのめされた。「自分は日本一を目指しているが、向こうは世界一を目指している。レベルが違った」と、普段の練習を見直すきっかけになったという。 窓場千加頼、寺崎浩平が成長し、同じステージで戦えるようになったのも、古性の活躍を後押しした。特に同期の窓場は自転車競技のエリート。日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)時代は、BMXから転身した古性のあこがれでもあった。「オールスター」でワンツーを決めた時は「学校時代に追い越したいと思っていた千加頼と、この舞台で決められた」と感激。絆と言えば言葉が安いが、新たな近畿の可能性を感じさせた一幕だった。 静岡「グランプリ」を勝った直後には「25年は近畿でタイトルを全て取って、近畿9人でグランプリを走るのが目標」とぶち上げた。自身だけでなく、周囲のレベルアップを促して、他地区を圧倒する。その先に個人の記録が付いてくるのは分かっている。新年は元日から和歌山バンクに入って練習。ひたすらに強さを追い求める古性の戦いぶりに注目だ。 ■新山・25年も進化 引き上げてもらった1年目、地位を守った2年目。3年目のS班となる新山は、どう戦っていくのか。昨年は6つのG1のうち、4大会で決勝に進出。平塚「オールスター」の3着が最高着順だったとはいえ、一昨年以上の成績を残したのは立派だった。新山は「結果はともかく、内容にこだわってやってきた。そこは満足」と自己評価。前受けから別線を突っ張って先行するというスタイルを確立し、昨年は93走してバック58本、逃げの決まり手は30回。もちろんS班ではトップだった。 初めて単騎で走った静岡「グランプリ」。「自分が勝つように走る」と、逃げた脇本雄―古性優の4番手を取ったが、最後は仕掛け切れず5着。レース後は「来年はタイトルを取って、ラインで走りたい」と悔しさをにじませた。昨年11月の四日市記念は、後輩・中野慎の先行に乗ってVと、新たな可能性も感じさせた。真価が問われる25年も、進化を止めるつもりはない。 ■窓場・古性超え挑戦 昨年は3月「ウィナーズカップ」でビッグ初決勝を経験すると、8月にはG1初決勝の「オールスター」で準V。賞金面で「グランプリ」を争うなど、大きく飛躍した。古性優の活躍に刺激を受け、肉体改造から始まり、競輪にしっかり向き合うことで素質が開花。「一流はスキがない。自分もそういうレースをしないと」と、自力に磨きをかけて、昨年末の佐世保で記念初制覇も果たした。G3ウィナーとして迎える25年は、もちろんG2、G1奪取が目標。偉大な同期・古性超えにチャレンジする。 ■シリーズ展望 最強レーサー・古性が25年の初戦に臨む。昨年末の静岡「グランプリ」では、盟友・脇本雄の先行に乗り、ゴール前抜け出して2度目の制覇。スキのない運びに加え、タテ、ヨコとも超一流。今回は昨年ブレイクした窓場や、地元勢と分厚い近畿ラインで臨む。昨年に続きここ和歌山で最高のスタートを切る。 新山は3シーズン目のS班。静岡「グランプリ」は単騎で難しい立ち回りを強いられ5着。出来自体は悪くなかっただけに、今回は雪辱を期す戦い。菅田、大槻寛、大川剛らとの連係で打倒・近畿をもくろむ。 防府、松山と記念で連続優勝を果たした松本が急上昇中。中四国勢の援軍は少ないが、流れに応じた柔軟攻めで上位をうかがう。 他では小林―吉沢の関東勢も実力十分。山田、小岩の九州コンビもしぶとく迫る。「ヤンググランプリ」覇者の纐纈も、思い切った走りで沸かせてくれそうだ。
報知新聞社