相続登記にかかる費用は? 司法書士報酬、必要書類の取得費用、税金を解説
7. 相続登記は2024年4月から義務に!
令和6年(2024年)4月1日に相続登記を義務化する法律が施行されました。今後は、相続人が不動産を相続したことを知ったときから3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なく相続登記を怠った場合には10万円以下の過料に処されます。 過料を免れる「正当な理由」が認められる類型としては、法務局の登記官が個別事情を確認して判断することになっているものの、「相続人の数が極めて多数で書類の収集や相続人の把握に多くの時間を要する場合」、「遺言の有効性について争いがある場合」、「相続人が重病である場合」「経済的に困窮している場合」などが挙げられます。 ただし、「正当な理由」が認められるのは例外的なケースなので、不動産を相続した場合には、速やかな相続登記の申請が必要になることは間違いないでしょう。
8. 相続登記の費用についてよくある質問
Q. 自分で相続登記すると、費用はいくら? 相続登記を司法書士に依頼した場合の報酬の目安は5~15万円です。自分で手続きを行えばその分の費用が浮き、戸籍謄本など必要書類の取得費用と登録免許税のみで済みます。先ほどの具体例で言うと、合計27万5,000円のうち司法書士報酬が11万円ですので、自分で行った場合には16万5,000円で済むという計算になります。 しかしながら、司法書士報酬が浮くとはいえ、相続登記を自分でするのは大変な労力がかかります。手間をかけず確実に相続登記をしたい人は司法書士への依頼を検討しましょう。 Q. 相続登記の費用は誰が払う? 相続登記の費用を誰が負担するか、法律上の決まりはありません。相続人同士で話し合って決めることになりますが、一般的には不動産を引き継ぐ人が負担することが多いです。 Q. 相続登記の申請人は誰? 相続登記の法務局への申請は、不動産を引き継ぐ相続人が行います。司法書士に依頼した場合には、司法書士が代理人として申請することができます。
9. まとめ:まずは司法書士に相談を
「自分で相続登記を申請しようとしたが、途中で挫折してしまい何年も経ってしまった」と相談に来られるケースもあります。相続登記を自分で行えば司法書士の報酬が不要になるので、費用を抑えるという意味では大きなメリットがあります。しかし、戸籍謄本等の取得に始まり遺産分割協議書や登記申請書の作成、法務局への申請まですべて自分で行うのは大変な作業です。また、なんとか申請できたとしても訂正のために何度も法務局に足を運ぶことになったり、書類の不備のために申請がやり直しになることもあります。 不動産という大切な財産の名義変更を迅速かつ正確に行うためにも、相続登記は司法書士に依頼することをお薦めします。また司法書士に依頼する際には、手続きの流れや報酬など気になることは何でも質問して、その質問に対して誠実かつ丁寧に答えてくれる司法書士を選ぶとよいでしょう。 (記事は2024年6月1日時点の情報に基づいています)
細井勇樹(司法書士・行政書士)
東京都大田区生まれ、埼玉県川口市在住。平成18年、司法書士法人リーガル・フェイスへ入社。 補助者として不動産登記の実務を学びながら、コツコツと勉強を積み重ね、平成27年に司法書士試験・行政書士試験の両方に合格する。 現在はダブルライセンスを活かして遺産承継や相続登記など相続関連の業務を行う傍ら、リーガル・フェイスグループ西日本事業部長兼、相続・商業課課長として所員のマネジメントも行う。「士業もサービス業である」を信条に、誠実・親切・丁寧な対応を心掛けている。
細井勇樹(司法書士・行政書士)