相続登記にかかる費用は? 司法書士報酬、必要書類の取得費用、税金を解説
不動産を相続した場合は、その不動産を取得した相続人が相続登記を申請する必要があります。相続登記には、登録免許税や各種証明書の発行手数料、司法書士に依頼した場合の報酬など様々な費用がかかります。相続登記に必要な費用とその目安を司法書士が解説します。
1. 相続登記とは?
相続登記とは、不動産(土地・建物)の所有者が亡くなった場合に、その不動産の登記名義を相続人の名義に変更することをいいます。 不動産の所有者が誰なのかは法務局で管理されている登記簿(登記記録)に記録されていますが、所有者が亡くなったときには法務局が勝手に名義変更をしてくれるわけではありません。 所有者がなくなると、その不動産を相続した人は「相続を原因とする所有権移転登記」いわゆる相続登記を申請する必要があります。相続登記は、対象となる不動産の所在地を管轄している法務局に対して、相続によって不動産を取得した人が申請人となって申請します。
2. 相続登記にかかる費用は3種類
相続登記には、主に次のような費用がかかります。 ・必要書類の取得費用 ・登録免許税 ・司法書士報酬 相続登記では、戸籍謄本等の各種証明書を添付書類として提出する必要があり、その取得に費用がかかります。また、相続登記を申請する際に「登録免許税」という税金を納める必要があります。さらに司法書士に依頼する場合には、報酬の支払いも必要です。
3. 相続登記の必要書類の取得費用:数千円~
相続登記で必要になる証明書は市(区)役所で発行してもらえますが、発行手数料がかかります。相続登記で必要となる証明書とその発行手数料は下記のとおりです。 ・戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 1通450円 ・除籍謄本(除籍全部事項証明書) 1通750円 ・改製原戸籍謄本 1通750円 ・戸籍の附票の写し 1通300円 ・(除)住民票の写し 1通200~300円程度 ※自治体により異なる ・印鑑証明書 1通200~300円程度 ※自治体により異なる ・固定資産評価証明書 1通200~400円程度 ※自治体により異なる 1通あたりの手数料は大きな金額ではありませんが、相続登記において必要な証明書は1通ではありません。 戸籍謄本だけでも被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本や改製原戸籍謄本も含む)、法定相続人については現在の戸籍謄本が必要になります。 必要となる戸籍謄本の通数は相続関係により異なりますが、配偶者および子が法定相続人になるようなシンプルな相続の場合でも5~10通程度になることが多いです。亡くなった人が転籍(本籍地を 変更すること)を繰り返していた場合や、兄弟姉妹が法定相続人になる場合にはさらに通数が増えます。 相続人が被相続人より前に死亡しており相続人の子が代わって相続人になる「代襲相続」の場合や、相続登記をしないうちに相続人が死亡して次の相続が発生してしまう「数次相続」の場合では、必要な戸籍が数十通になってしまうこともあります。 また、戸籍謄本は2024年3月から、最寄りの市(区)役所で、まとめて取得できるようになりました。必要となる戸籍の本籍地が遠方にあったとしても最寄りの窓口で請求が可能です。請求する本人の戸籍謄本だけでなく、配偶者、父母・祖父母、子・孫についても請求できます。 ただし、兄弟姉妹の戸籍謄本と、コンピューター化されていない戸籍謄本は請求できないため、それぞれ本籍地のある市(区)役所を訪れるか、郵送請求する必要があります。マイナンバーカードを利用したコンビニ交付ができる市町村もありますが、自治体によって対応は異なりますので、詳細は個別に確認しましょう。