【独自解説】ウクライナによる大規模越境攻撃は、ロシアの「核使用」の条件に当てはまる?和平交渉を有利に進める切り札として狙いは「原発」か…戦争の行方と日本への影響とは
この「ザポリージャ原発」はウクライナだけでなく、ヨーロッパ最大級の原発です。ヨーロッパにとっては、最も大きな被害をもたらしかねない可能性があります。そして、今回ウクライナが目指していると言われている「クルスク原発」は、ロシアにとって最大級のところです。つまり、相手にとって、あるいは周りの国にとって最大級の脅威になる場所を抑えようとしているのです。
戦争をやっていながら、急いでいるのは“和平”なんです。“和平”というのは「戦争状態を一度やめる」という解釈だと考えますが、“平和”というのはずっと続いている状態です。「“平和”にするために一旦戦争の状態を止める」、ということが“和平”なんです。 ただ、残念ながら“和平”を有利に進めようとすると、まず取れるだけ取っておかないといけないんです。“平和”に向けての“和平”の話をするために力を使わないといけない、という皮肉なことが今起きているわけです。
ウクライナの越境攻撃は、ロシアの「核使用」の条件に当てはまっている?
プーチン大統領は、「ウクライナの今回の越境攻撃は無差別。軍隊も市民も関係なくて市民に犠牲が出ている。そんなところと和平の話し合いはできない」と言っていますが、ウクライナから言わせれば、「ロシアも同じことやっている」という話になります。
当然、ロシアは次のステップとして「核の使用」をちらつかせてくるだろうといわれていますが、それには条件があります。ロシアはこの戦争が始まってからより世界に対して、明確に「こうなったら核も使いますよ」という基準をより強く公表しています。
核を使用する条件はいくつかあります。 ①「ロシアが核攻撃を受けた場合」 ②「通常兵器による侵略で国家存亡の脅威にさらされた場合」 などです。 「通常兵器による侵略」については、「国境を越えてロシア領に入ってくること」で、それが「国家存続の脅威」に当たるかどうかはプーチン大統領の判断になります。本人がそう思えば「核を使う」という条件に見事に当てはまってしまうということになります。そこまで考えてウクライナ側が攻撃しているのかというのは非常に読みづらいところではあります。 結局のところ、原子力施設を狙ったり、「核の使用」をちらつかせたりといった、「核」を使って周りの国に巻き添えを促すという戦略が、オリンピックの裏で展開されているということになります。
■経済の立ち直りを目指す、日本への影響は…
では、日本は遥か遠い国だから関係ないのかと言うと、実はそうではありません。 ヨーロッパとロシア、ウクライナは地続きです。ヨーロッパには日本企業もたくさんあります。日本人もたくさんいます。そこに被害が及びかねない事態になれば、当然、日本の株価、経済の立ち直りというところについても大変影響があります。離れていても日本もこの争いの巻き添えになりかねないと言えます。 (『読売テレビ』高岡達之特別解説委員) (「かんさい情報ネットten.」2024年8月13日放送)
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