親から相続を受けるときには自分も高齢者です。「老老相続」になるとどんな問題が起こりますか?
(2)相続人のなかに認知症などの方がいるため、話し合いができない
相続人のなかに認知症の方がいる場合、遺産分割の話し合いができません。つまり、相続の対象となる預金では名義変更や移管ができません。また、不動産は所有権移転登記(相続登記)ができず、売却などもできません。 遺産分割を進めるためには、成年後見制度を使うなどの方法があります。しかし成年後見人は、原則として被後見人の財産の保全を行うことが職務なので、被後見人に不利な遺産分割方法が認められません。法定後見人の場合、選任には時間も要します。 すべての財産を法定相続分どおりに相続することにすれば、遺産分割協議を行わないでも手続きは進められます。しかし、相続財産に不動産がある場合など、その評価方法でもめる可能性もあります。また、不動産も法定相続分どおりに共有とした場合には、その後発生する相続の際に分割方法でもめる可能性もありそうです。 こうした問題を回避するためには、被相続人が元気で認知能力もしっかりしているうちに、「遺言書」で分割方法を決めておくことが有効です。
(3)相続人が故人の財産を把握していない、預金通帳などの保管場所が分からない
故人と同居されていれば、どこの金融機関と取引があったかなどの情報は比較的把握しやすいと思います。しかしながら、最近では核家族化が進んでいますので、ご両親と離れて暮らしているケースも多いでしょう。 取引のあった金融機関が分からない場合、可能性のある金融機関に片っ端から確認していく、などという作業になる可能性もあります。金融機関から届く書類などが保管されていれば、探しやすくなります。 生前から信頼の置ける身内などとの間で、財産管理契約などを結んでおき、預金通帳などを預かり、財産を管理しておくことや、大事なものの保管場所を伝えておくなども必要でしょう。 ただし、誰かが財産を管理していると「使い込んだのではないか」などという疑いをもたれ、もめてしまう可能性もあります。 財産を管理される方は、口座からの出金や財産を使った際には、その記録もあわせて残しておくことで、こうしたリスクは軽減できるでしょう。