中国・吉利汽車のプレミアムブランドEV「ZEEKR」が2025年に日本に上陸、アルファード対向車など勝算は?
2025年中国のプレミアムブランドZEEKR(ジーカー)が日本に上陸する。日本ではほぼ無名のZEEKRは吉利汽車グループのプレミアムEVブランドである。 【写真】「ZEEKR」ってどんなデザインのクルマを出してるの?そびえたつ本社やアルファード対抗モデルなど写真で見てみる! 中国車を侮ってはいけない。モノマネ車は過去の話。オリジナリティを持った先進的なモデルがグローバルで販売されており、中国の自動車産業は若者にとって花形産業へと成長している。 中国の自動車メーカーを整理すると、3つの中央企業(国営のこと)があり、一汽汽車、東風汽車、そして長安汽車だ。 また3つの地方政府企業がある。こちらは上海汽車、北京汽車、広州汽車で、地名がついているのでわかりやすい。 そして民間企業のビッグ3がBYD、吉利汽車、長城汽車であり、他にもフォーミュラEに参戦するNIO(ニオ)や格安EVで話題のシャオミなども出てきている。 ナンバープレートが緑はNEV。商用車までEV化されている。見た目6割がNEVになっている上海・杭州地域。
「ZEEKR」グローバル展開は2023年から始まったばかり
民間ビッグ3のひとつ、吉利汽車はいくつかのブランドを持ち、欧州ブランドも傘下に収めている。マレーシアの「プロトン」、自社の「Geely auto」そしてスポーティな量販高級モデルに「Smart」と「Lynk & Co」(リンク・アンド・コー)があり、プレミアムブランドに「ZEEKR」と「VOLVO」がある。 さらに「Polstar」はプレミアム・スポーツブランドに位置付けられ、超高級スポーツブランドの「Louts」らを傘下に収めている。またメルセデス・ベンツの筆頭株主でもあるのだ。 その多くのブランドの中からZEEKRが日本にやってくる。ブランドの立ち上げは2021年と若く、グローバル展開は2023年から始まったばかり。これまでの販売台数は累計で34万台と小さい。ただし、今期は前年比180%と着実に成長しているのだ。 EV失速や中国経済崩壊のニュースもあるが、全体を言い表しているとは言い難い。ちなみに23年の吉利汽車の販売台数は279万台。 そのZEEKRの副社長であるマーズ(中国名チェン・ユ)氏に中国・杭州にあるZEEKR 本社でインタビューができたので、日本進出について聞いてみた。 「ZEEKRは2024年、30カ国の国と地域で販売を始めており、欧州、アジア・太平洋地域、ラテンアメリカ、中央アジアで展開をしています。そして2025年に日本でも展開をする予定です」 なぜ日本に進出するのか?日本の魅力は何と捉えているのだろうか? 「日本は400万台規模の大きなマーケットであり、ベンツやBMW、テスラやボルボなど多様なニーズがある国だと思っています。 つまりオープンな市場であり、ユーザーもさまざまなニーズを持つ人たちだと考えています。だからZEEKRにも興味をもってくれると思っています」 ダイバーシティ(多様性)。日本のクルマへの要求は多様であるがために、ZEEKRにも魅力を感じてくれるのではないかということか。 「ビジネス面では日本で販売が成功すれば、それはイコール・グローバルブランドとして認められたという証明になります。多様性の中でのニーズに応えたという意味でも」 つまり日本人が品質を認めたことになり、ZEEKRにとってひとつのブランドになるというわけだ。では具体的にはどうやって販売をしていくのだろうか。 「伝統的な販売方法のひとつ、直販はせずにフランチャイズ式でディーラー展開を考えています。そして輸入元もEVの経験が豊富な企業を求め、興味があるレベルではなく、EVへの情熱を持つ企業とパートナーを組みたいと考えています」 また日本での販売が成功すると考える理由はなにかを尋ねてみた。 「日本では成功させたいと考えています。EVブランドが成功するためには4つのことが重要で、まずインフラの整備があります。日本はまだ未整備な部分が多いと理解しています。また政府の補助金も必要だと思います。それとユーザーが熱い情熱を持っていることも大切で、そして最後にいい製品が必要です」 やはり外国からも日本のインフラは脆弱であり、EV普及には壁があると考えているようだ。もちろん彼らは800Vアーキテクチャーが基本設計だけに、CHAdeMOの現状では厳しいことも理解している。 さらに従量制ではなく時間制の急速充電も課題とわかっている。そうした課題が国内にあることを理解しつつも展開してくるZEEKRは、既存のEVブランドに対してどんなUSPを持っているのだろうか。 「EVのパフォーマンスだけでなく、エクスペリエンスを大切にしています。これはレクサスから学びましたが、車両に竹を使ったりしています。 つまり、冷たく正確な機械を提供するのではなく、座り心地や居心地のよさといった体験を重視しています。パフォーマンスに目が行きがちなラインアップだと思いますが、そうしたエクスペリエンスに配慮している点に注目してほしいです」 じつはすでに累計22万台も販売した001という最初のモデルに、4モーターのシューティングブレークがあるのだ。 サーキットで試乗させてもらったが0-100km/hは2秒台という脅威の加速力を持っていて驚いた。だが、そうしたパフォーマンスではなくユーザーの心地よさを大事にしていることがUSPというわけだ。ちなみに、この001FRは国内への導入予定はないということだ。