海外ビッグクラブを目指す10代に求められる“備え”とは? バルサへ逸材輩出した羽毛勇斗監督が語る「世界で戦えるマインド」
代表選手の基準はヨーロッパに
――羽毛監督は、ご自身も現役時代にU-16日本代表候補としてプレーされましたが、これから日本代表を目指す選手たちに求められる要素はどのようなことだと思いますか? 羽毛:自分は代表に生き残れなかったのですが、指導者目線から今の代表を考えると、間違いなくヨーロッパで戦えるマインドを持っている選手が代表に求められると思います。最近は若い頃から海外で戦ってきた選手が逆輸入で世代別代表に入るケースも増えています。そういう選手たちが持っている違いは「明確な目的意識」だと思います。 例えば、代表候補に1回入って満足する選手もいれば、もっと先まで見通している選手もいる。同じ才能がある選手でも「Jリーグでデビューしたい」と思っている選手と、「チャンピオンズリーグの舞台に立つために、まずはJリーグでデビューしたい」と考えている選手とは、後者のほうが成長できると自分は思います。その意味でも、代表は今後、いろんな面でヨーロッパが基準になると思います。 ――ヨーロッパで戦う選手たちは、外国人枠や生活環境なども含めて、国内とは異なるハードルや苦労もありますね。そうしたことも、意識の違いにつながるのでしょうか? 羽毛:そうですね。ヨーロッパで戦う選手は言語ができて当然だし、マーケットに乗っている自分の価値も理解しています。ハイレベルな環境で、「自分にはこの能力が足りないから磨こう」「この武器で生き残ってやろう」と、自分を客観的な視点で見るようになるので、同じ能力がある選手なら、そういう選手が代表に残っていくと思います。 海外の選手と比べて何が自分の価値なのかを、イメージではなく、現実的に捉える力は大事です。例えばJリーグでデビュー時の年俸がいくらか、ということを意外と知らない子どもたちが多いので、もっと知ってもいいと思います。ヨーロッパでは、オランダやスペインでリーグの最低年俸がいくらか、といったことを子どもたちが小さい頃から考えて、取捨選択をしています。 ――親御さんではなく、自分で考えているんですね……! 羽毛:(西山)芯太も、それは考えていると思いますよ。その情報を持った上で、「もっとこうなりたい」と考えて日々を送っているはずです。芯太を見ていても、サッカーに携わることに関しては常に情報収集を怠らず、指導者含め、携わる大人たちもちゃんと理解してあげられるといいなと思います。