「第3子以降に1000万円」で子どもは増えるか…政策通たちが動きはじめた「超・少子化対策」驚愕の中身
婚姻カップルがあと1人生むと…
第3子以降に1000万円を支給するという政策案は、けっこう前からあったが、検証が進み、いまその効果や実現可能性がにわかに政策議論の俎上に上がり始めている。 社会保障の問題に詳しい財政学者で、法政大学の小黒一正教授が言う。 「生涯未婚率が増えていることから、少子化対策は婚姻を増やすという対策が注目されがちですが、いま結婚していてすでに子どもを持っているカップルにあと1人子どもを生んでもらう政策の方が効果がありそうだということが分かってきました。 すでに子どもを持っているカップルが、1人から2人あるいは2人から3人に子どもを増やしてもらったほうが、効果的に出生率が伸びる可能性があるのです」 夫婦から生まれる子どもの数を「有配偶者出生数」という。これがたとえば1人ないしは2人増えるだけで、実は少子化対策の目的はほぼ達成できるのだという。 小黒教授によれば、次のような計算が成り立つという。 「有配偶者出生数」は、現在は約2人、生涯未婚率は約35%であり、現在の合計特殊出生率は約1.3である。 図にあるように、生涯未婚率の数字を約10%まで減らしてみると、合計特殊出生率は1.8となる。確かに効果はあるのだが、生涯未婚率が約35%のままでも有配偶者出生数を3人とすれば、出生率は1.95までのびる。4人であれば、なんと2.6まで増えてしまう。 つまり、いま結婚している人があと1人、あるいは2人、子どもを増やした場合、計算上の少子化対策は完了してしまうというのである。 そこで注目されているのが、「第3子以降に1000万円」を支給するという政策案だ。 たしかに1000万円が給付されるとなればかなりのインパクトがあるが、財源はあるのだろうか。 簡易的に計算してみれば、仮に第3子に1000万円を支給し、かつ第3子の出生数が30万人増えた場合の予算は約3兆円となる。いま政府が行おうとする異次元の少子化対策の予算規模と変わらない。また、現在第3子の出生数は15万人程度だから、予算規模は1兆5000億円程度からスタートできる。 なるほど、たしかに荒唐無稽な政策ではなさそうだ。