あこがれの1台、MGB【1】長らくガレージに眠っていたMG-Bに新たな息が吹き込まれる!|エンドレスが挑む 回顧録
長くエンドレスのガレージ眠っていたMG-Bがスタッフの手によって引き出された。しっかりとボディの形状を残しているが、当時の英国車らしさを感じることはない。これから、エンドレスによって、新たな息が吹き込まれるのだ。 【画像30枚】エンドレスのガレージに長らく眠っていたMG-B。これから新たな息が吹き込まれていくのだ! 【長らくガレージに眠っていたMG-Bに新たな息が吹き込まれる! エンドレスが挑む】 ノスタルジック2デイズで珠玉の初代シルビアを披露したエンドレス。ショーに向けて熱を帯びていたファクトリーは、落ち着きを取り戻していたが、すでに次なるクルマのレストアがスタートしようとしていたのだ。 ガレージのコンテナにかけられていたカギを外し、重い扉を開くと、中に眠っていたのはブリティッシュグリーンのMG-B。2年間、この中でひっそりと保管されていた。ボディに堆積したホコリが、時間の経過を物語っている。 4月よりエンドレスアドバンスの会長に就任した花里功さん(取材当時)によると、「以前、ミゼットを引き上げた時、一緒に仕入れたクルマ」だったという。ミゼットの隣に並べられていた、MG-Bを横目に、いつかはエンドレスがレストアするクルマだろうと感じていたそうだ。 以前モーリスマイナーに乗っていた花里さんにとって、MG-Bはあこがれのクルマでもあった 花里さんは、以前、モーリスマイナーに乗っていたこともあり、イギリスのクルマにも興味があった。なかでも、MG-Bは排気量も大きく、ドライビングすれば楽しいクルマになるだろうと感じていた。しかし、都会的なイメージが先行して、なかなか乗る機会に巡り合わず、いつか乗ってみたい、あこがれのクルマの1台となったという。 エンドレスで計画されている旧車の夢工房も本格的に始動しており、これまでにレストアしてきた、ミニのサルーンとエステート、ミゼットの英国車シリーズに、MG-Bを加えたいという思いも強かった。「かっこいいクルマを選ぶのではなく、できることなら、みんなに愛された大衆車を残していきたい」という花里さんのこだわりでもある。 保管されていたMG-Bは左ハンドルであったが、エンジンルーム内のプレートは日本レイランド販売株式会社となっており、正規で持ち込まれた個体のようだ。保安部品など、当時の法規に合わせ、国内仕様に変更されている。 状態はいいとは言えないが、ボディ形状は残り、大きな腐食もない。気になるところは幌だろう。カバーは硬化し、開閉でヒビが広がりそうな状態。骨はしっかりと残っているので、再生は可能だ。幌はエクステリアのシルエット全体を引き締める役割があるので、重要なレストアポイントでもある。 現代の走りに合わせた仕様で、純正同様のパーツを作り出すことができるエンドレスの技術力 以前のミゼットでは仕様が細かく異なり、手を焼いたが、今回はパーツも入手しやすいのでは、とガレージスタッフが予測している。もし、パーツがなくても、ワンオフで製造するマシンを手配済みだという。しかも、素材から見直すこともできるので、現代の走りに合わせた強度などを出しながら、純正同様のパーツを作り出せるという。 パーツ供給に関して花里さんは、「本来はクルマのメーカーがもっと頑張ってもらわないといけません。イギリスであれば、古いクルマのパーツもすぐに出てきます。この環境がクルマ文化の違いだと思うのです。私たちは、ないものは作ってしまえばいいという精神でやっていますので、気になりませんが、できればメーカーが旧車パーツを供給して、自動車文化を下支えしてほしいです」と語っている。 すでにミゼットを仕上げているので、エンジンルームのレストアも慣れたもの。必要パーツや部品の配置など、参考にできるクルマが近くにあるのは心強い。他のレストア車両も気になるところだが、まずはこのMG-Bから2020年のレストアがスタートする。来年のショーに向けて、エンドレスのガレージは忙しくなりそうだ。 初出:ノスタルジックヒーロー vol.199 2020年6月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部