「監督、これ1位あるよ」記者はささやいた…ソフトバンクドラフト1位・村上泰斗はなぜ甲子園出場なしで“高校最強右腕”今朝丸裕喜の阪神2位を上回ったか
阪神2位・今朝丸裕喜との対決
対外試合が解禁された3月上旬の練習試合で、同じ兵庫のドラフト候補として注目を集めていた今朝丸裕喜との投げ合いが実現。スカウト、メディアが大挙した一戦で、村上は投げ負けた。 「球速こそ、村上が149で、今朝丸くんが147やったかな。でも、ピッチャーとしての差はえらい出たなと思ったんです。“勝てるピッチャー”という点では、今朝丸くんにものすごく差をつけられた。村上に『このままじゃ勝てんぞ』と言うたのを覚えてます」 2年冬に進路を「プロ一本」に定めていたが、この試合の直後から「3位以上でプロに行く」と目標を上方修正した。 一時期ショートアームに挑戦した上で元のテークバックに戻すなど、試行錯誤する中で様々な感覚に触れたことが奏功し、課題だった制球力が大幅に改善。追い続けたスカウトが「球速が大幅に上がる高校生はいる。けど、ここまでコントロールがよくなる高校生はめずらしい」と目を丸くするほどの成長を見せた。岡本が言う。 「秋から冬、冬から春、春から夏。それぞれの成長曲線がものすごかったなと感じます。村上を見ていて、『高校生って、とてつもない力があるんやな』って思わされました。僕からしたら、まさか、まさかが続いて、これだけの選手になった感じなので」 今朝丸は阪神2位指名。結果的に、春時点では「えらい差がついた」ライバルを上回る順位でプロに飛び込むことになる。ただ、村上に慢心はない。岡本が目を細める。 「ドラフトの後の取材で、『順位で今朝丸に勝ちましたね』って聞かれとったんです。それに対して、村上が『順位だけは上かもしれないですけど、直接対決の練習試合では負けてるんで、プロで投げ合って勝ちたいです』みたいに言うとって。『お前、偉いなー! 』って(笑)。そういう感覚があるというか、浮ついてない。考え方もしっかりしてきましたね」 奇しくも、今朝丸は藤川新監督の下、本格派右腕への道を歩む。“火の玉ストレート”の後継者争いの行方も見逃せない。
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