異色の商社マンボクサーが世界挑戦!
商社マンとプロボクサーを兼任している異色のWBC世界ライトフライ級3位、前日本ライトフライ級王者の木村悠(31歳、帝拳)が、11月28日に宮城県・仙台のゼビオアリーナ仙台で、ペドロ・ゲバラ(26歳、メキシコ)の持つWBC世界ライトフライ級王座に挑戦することが25日、都内で発表された。 WOWOWが同日に行う無料放送などの大総力祭「TOUCH! WOWOW2015」のイベントのひとつとして開催されるもの。会見に出席した木村は「ワクワクしている。世界王者になって人生を変えたい」と意気込みを語った。 スーツ姿が板についている。木村は、電気通信の工事関係の機材などを扱っている商社の営業マン。元々は、名門、習志野高校、法政大でボクシングをしていたアマエリートで、元2階級王者の八重樫東(大橋)、同じジムの元WBC世界フライ級王者の五十嵐俊幸らの同期で凌ぎを削った。2002年には全日本のライトフライ級で優勝も飾っている。期待を背に2006年にプロデビューしたが、6戦目に小野心(当時花形)に敗れ、「自分を変えたい」と商社マン生活をスタートさせた。 勝てないボクサーが仕事を辞めてボクシングに集中するのは、よく聞くストーリー。またボクシングだけで食えずにバイトや、会社勤めで生活を支えるボクサーも少なくないが、木村はまったくの逆パターン。 その理由がよく理解できなかったので改めて尋ねると、「練習だけでは成長できないと思ったんです。180度、何かを変えなければいけないと。社会に出ることで精神的な強さを身につけたいと考えました。経済面を安定させるわけではありません。実際、仕事と練習の両立で体はきつかったですが、責任感が生まれプロ意識も学べた」と言う。少々、意地悪な質問にも、顔色も変えず誠実な人柄がにじみ出た。 仕事は法人相手のルートセールスだが、月曜から金曜までの勤務時間は、朝9時から夕方5時までミッチリで、早朝にロードワークしてから会社に行き、仕事が終わってからジムに通う生活。土曜だけはジムワーク1本に集中できるが、ボクシングとの両立が難しい環境の中で、銭湯に通うなどして疲労回復に工夫もしながら徐々に実力を蓄え、昨年2月に堀川謙一(SFマキ)との日本ライトフライ級王座決定戦に判定勝利して初のベルトを腰に巻いた。その後、日本タイトルを3度防衛、ついに世界挑戦のチャンスをつかんだのである。 ここまでの戦績は、20戦17勝(3KO)2敗1分。