100年前より安全になったとは言えない--首都圏に潜む、地震火災リスクを考える #災害に備える
防災を「うまく」使ってコミュニティの再構築を促せたら
「出火」「延焼」「消防」「避難」。いずれの観点で見ても、必ずしも100年前と比べて都市がそこまで安全になっているとは言えないようだ。地震火災に強い街を目指す上で、助け合えるコミュニティをつくるのも大切だと廣井教授は訴える。 ――どのように備え、立ち向かっていけばよいのか。 「まず、いまもなお、地震火災リスクは少なくないことを知ってほしいと思います。もちろん地震発生の季節や時刻、風速などの条件が良ければ、大きな地震があっても火災被害はそれほど大きなものとはならないかもしれません。しかし反対に運が悪ければ、甚大な火災被害が発生する可能性もゼロではないのです。このような我が国の地震火災リスクの高さを知った上で、どのようなことが身の回りで起きるのかというイメージを持ってもらいたい」 「地震火災に強い街ってどんな街だろう、と考えると、コミュニティがしっかりしている街だと思うのです。今、そもそもコミュニティは衰退している地域も多くて、大都市などでは人がたくさんいても、周りの人の名前が分からないという状況もありますよね。そうしたなか、みんなで地震火災の取り組みを進めることで、地域の中でこれまで見えなかったさまざまな課題が見えてくるかもしれません。その結果、普段生活がしやすいコミュニティができて、さらに地震火災にも強くなる。防災をうまく使ってコミュニティの再構築を促すような、良い循環が生まれるための支援を、私としてもしていきたいと考えています」