春の京都「茶の湯文化に触れる展覧会」茶器など貴重な作品を鑑賞できる3選
亭主が客との一期一会を愛おしみ、もてなす茶会。今もなお茶の湯は建築や庭園、美術工芸など多彩な日本文化と関わり、その美しさでも人々を魅了し続けています。茶道具などを鑑賞しつつ、庭園の美しさも堪能できる、春の展覧会をご紹介します。
1.「2024年春季特別展 野村得庵 席披茶会再現 ─神戸棲宜荘・熱海塵外荘─
1984年に開館した野村美術館は、野村證券の創業者である野村徳七(とくしち)のコレクションを中心に、茶道具や能面、能装束など約1900点を所蔵しています。 今春行われているのは、神戸と熱海の茶室を披露した際に行われた茶会を再現した「2024年春季特別展 野村得庵 席披(せきびらき)茶会再現 ─神戸棲宜荘(せいぎそう)・熱海塵外荘(じんがいそう)─」です。 4月21日までの前期では、神戸の「棲宜荘(せいぎそう)」で大正13年4月に行われた席披茶会を再現しています。邸宅内に設けた「松欣庵(しょうきんあん) 」で行われた濃茶席で用いられたのは「交趾菊蟹(こうちきくかに) 香合」「薩摩肩衝(さつまかたつき) 茶入 銘忠度(ただのり) 」「熊川(こもがい) 茶碗 銘 霊雲」「藪内剣仲(やぶのうちけんちゅう) 作茶杓」など。また「分銅間(ふんどうのま ) 」の薄茶席は、「刷毛目(はけめ) 茶碗 銘 四海兄弟(しかいけいてい) 」「象牙茶杓」でもてなされました。
続いて後期では、熱海の塵外荘の席披茶会のために得庵が取り合わせた品々が登場します。濃茶を出した「鷗友軒(おうゆうけん) 」に掛けられていたのは藤原定家筆の「住吉消息(すみよししょうそく) 」。このほか、薄茶席の「到月亭(とうげつてい) 」で客をもてなした、春雨の銘を持つ「樂一入(らくいちにゅう) 作 赤茶碗」(展示は全期間)なども、得庵の茶室披露への心持ちや茶人としての美意識を感じさせるでしょう。 【2024年春季特別展 野村得庵 席披茶会再現 ─神戸棲宜荘・熱海塵外荘─】 京都市左京区南禅寺下河原町61 野村美術館 会期/~6月9日 ※前期は~4月21日、後期は4月27日~6月9日 開館時間/10時~16時30分(入館は16時まで) 休館日/月曜、4月23日~26日、30日、5月7日 ※ただし4月29日、5月6日は開館 入館料/一般800円、高校・大学生300円、中学生以下無料