春の京都「茶の湯文化に触れる展覧会」茶器など貴重な作品を鑑賞できる3選
2.「令和六年 春季取合展『碧の空』」
賀茂川と高野川が合流する鴨川の西岸。幕末の歴史家・頼山陽(らいさんよう)が「山紫に水明らかな處」と讃えた地にある北村美術館。昭和の実業家であり茶人の北村謹次郎(きんじろう)が、半世紀をかけて収集したおよそ千点の茶道と美術品を所蔵しています。 同館は春・秋の年2回公開されますが、今春は6月9日まで「令和六年 春季取合展『碧(あお)の空』」を開催。江戸時代の茶人・藤村庸軒(ようけん)の名物である竹の置花入「遅馬(おそうま) 」などが展示されています。「遅馬」は、近江堅田に住む、同時代の茶人・北村幽庵(ゆうあん)への手土産であったと言われる品。堅田までの道程を詠み込んだ漢詩の掛物が添えられているのも見どころの一つです。
俵屋宗達下絵に本阿弥光悦が筆をとった掛物や「あやめ」を銘とする茶碗など、新緑が徐々に色を深めたころを思わせる道具組は、まさに『碧い空』。一足早く、春から初夏の季節の移ろいに心が癒されることでしょう。 【令和六年 春季取合展『碧の空』】 京都市上京区河原町今出川下ル一筋目東入ル梶井町448 北村美術館 会期/~6月9日 開館時間/10時~16時30分(入館は16時まで) 休館日/月曜(祝日は開館)、祝日の翌日 入館料/一般600円、学生400円
3.「春季特別展『裏千家今日庵の茶室 寒雲亭ものがたり』」
裏千家センター内にあり、茶道を総合的に学ぶことができる茶道資料館。掛物、茶碗、花入などの茶道具や関連の美術工芸品、文献史料などを中心に展示しています。4月18日~7月7日は「春季特別展『裏千家今日庵(こんにちあん)の茶室 寒雲亭(かんうんてい)ものがたり』」が開催されます。 千利休の孫にあたる3代・宗旦(そうたん)が建立し、その心を今に伝える「今日庵」「又隠(ゆういん)」、そして「寒雲亭」の3つの茶室。いずれも重要文化財に指定されている貴重な文化財です。今回は、なかでも「寒雲亭」を中心に裏千家の歴史を繙きます。
宗旦好みとされる「寒雲亭」の茶室造営に着目。二条城や江戸城の絵画制作にも携わった江戸時代の天才絵師・狩野探幽筆と伝わる襖絵、遠忌記録や絵図を展示するほか、寒雲香合といった茶道具を見ることができます。 館内には書院造りを特徴とする「又隠」の原寸大の写しを常時設置。茶室内が見学できます。宗旦が受け継いだ千利休の想いを感じてみてはいかがでしょうか。 【春季特別展『裏千家今日庵の茶室 寒雲亭ものがたり』】 京都市上京区堀川通寺之内上る寺之内竪町682番地 裏千家センター内 茶道資料館 会期/2024年4月18日~7月7日 ※Ⅰ期は4月18日~5月12日、Ⅱ期は5月15日~6月9日、Ⅲ期は6月12日~7月7日 開館時間/9時30分~16時30分(入館は16時まで) 休館日/月曜(祝日は開館、翌火曜休館)、第2・4火曜 入館料/一般1,000円、大学生600円、中高生350円、小学生以下無料