ピアノの難曲「ラ・カンパネラ」弾くノリ漁師の映画完成にモデル男性が涙…伊原剛志さん、吹き替えせず演じる
時生は曲の難しさに加え、南果歩さん演じる妻や息子から「無謀だ」「ノリ漁が大事な時に」と反対され、一度はあきらめる。家族とぶつかる中で見えてきたのは、体が不自由な同居の父親をいたわる妻の姿や、ノリ漁を手伝うため美容師の道をあきらめた息子の思いだった。誰のために弾くんだと自問し、妻のためにと再び鍵盤に向かう。
伊原さんは撮影に入るまでの約半年間、徳永さんと同様、ピアノを一日も欠かさず練習したという。「徳永さんはすごい。何とか近づきたかった」と伊原さん。難曲のピアノ演奏も吹き替えは使わず演じきった。
ロケ地は地元・佐賀。美しい有明海や、ノリ、羊羹などの名産品、温かみのある佐賀弁のセリフがふんだんに登場する。地元で「支援する会」も発足し、撮影をバックアップした。徳永さんは「面白くできていた。みんなの力が集まって完成した映画。多くの人に楽しんでほしい」と期待する。
鈴木監督は「徳永さんがピアノと漁を両立できたのは、支える家族がいたから。佐賀らしいホームドラマが撮れた」と胸を張った。試写会に参加した佐賀市の公務員(25)は「ピアノと出会い、真剣に向き合っていく姿が丁寧に描かれ、妻への愛もしっかりと伝わってきた」と感想を語った。
来年1月31日から佐賀市のイオンシネマ佐賀大和で先行公開された後、順次全国公開される予定。