紀州の梅がカメムシにやられた! 恐怖の大量発生でついに農作物に被害
全国でカメムシが大量発生している中、とうとう農作物に被害が出てしまった……。 6日、和歌山県田辺市の熊野本宮大社で「梅漬けの儀」が行われた。梅産地としての発展を祈るものだが、紀州田辺梅干協同組合の前田雅雄理事長は、共同通信の取材に「カメムシの発生などで、今年は近年にない不作で来年の豊作を祈った」と話した。他にも、千葉県のビワ農家でも大きなカメムシ被害が確認されている。 記録的猛暑で新潟産「コシヒカリ」凋落の衝撃…ブランド米の評価は“西高東低”に 今年は暖冬の影響で越冬したカメムシが多く、大量発生の原因になっている。中でも「果樹カメムシ類」はナシ、ミカン、モモ、リンゴ、ウメなどを吸汁し、農作物に被害をもたらすだけに厄介だという。この先も、作物への被害が次々に広がる恐れがあるのか。 ■猛暑予想で大繁殖の可能性 農林水産省の消費・安全局植物防疫課はこう話す。 「カメムシの対策方法は確立されています。適切なタイミングと適切な回数で薬剤を散布できれば、問題は起きません。とはいえ、カメムシがあまりにも大量に発生すると、薬剤の散布が間に合わなかったり、散布する回数が足らなかったり、想定外の事態が発生し、不作の原因になります。そのため、各都道府県は『カメムシ注意報』などを発令して、注意を喚起しています」 夏に向けて、カメムシも徐々に人里から姿を消すという。 「果樹カメムシは本来、スギやヒノキの球果が好物。これから夏に向けて球果がつき始めるので、カメムシは野山に戻り、我々の前に姿を見せなくなります」(植物防疫課) しかし、安心できるのも夏が終わるまで。秋にはまたカメムシが人里に戻ってくるという。 「秋になると食べ物のスギ、ヒノキの球果がなくなるので、カメムシは野山から出てきて人里に姿を現します。もともと果実類は好きな食べ物ではないのですが、食べるものがなくお腹がすいているので、手あたり次第に汁を吸い、農作物に被害を広げます。カメムシの繁殖は単純で、エサがあり、気温が高いと、倍々ゲームでどこまでも増えていきます。今年は猛暑が予想され繁殖には適した環境になりそうですし、地域によらず、条件さえ揃えばカメムシはどこでも大繁殖する可能性がある。秋になり人里に戻ってくる頃に、どこで大量発生しているのか。一概に予測することはできません」(植物防疫課) 次に大量発生するのはアナタの町かも……。