入試でケアレスミスを防ぐ5つの方法 受験生のメンタル専門の診療内科医に聞く」
⑤右手に力を入れる
受験生からよく「試験中に集中が切れそうになったときはどうすればいいですか」と質問されます。私のおすすめは、右手にギュッと力を入れることです。 「脳は左側が優位になったほうが心が前向きになる」という性質があります。脳と、脳の外側にある末梢神経は左右が交差して繋がっているので、左脳を活性化させるには体の右側に刺激を与える必要があるんですね。また手を握ることで筋肉に力が加わると、筋紡錘という部分が刺激を受け、脳の覚醒度が上がって集中力が高まります。 右手を握りしめる程度なら、試験中でも周りの目を気にすることなくできます。右利きの人は鉛筆を持ちながらでもできるので、問題を解く手を止める必要もありません。ぜひやってみてください。 感情や精神をコントロールするのは難しくて、「落ち着け、冷静になれ」と言われたところで、それだけで冷静になれる人はほとんどいないと思います。むしろ気持ちを安定させようと思えば思うほど、逆に不安定になることも少なくありません。 でも、今回ご紹介した「ゆっくり息を吐く」とか、「目を閉じる」といった具体的な「行動」であれば、すぐ確実に実践できます。冷静になれる行動をいくつか用意しておき、安心して試験に臨みましょう。 <プロフィル> 吉田たかよし医師 灘中学、灘高校、東京大学工学部(量子化学専攻)卒、東京大学大学院医学系研究科(分子細胞生物学専攻)修了。生命科学の研究に従事しながら国家公務員(1種)経済職試験に2年連続で合格。NHKアナウンサーとして活躍後、北里大学医学部を経て東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。その間、加藤紘一・元自民党幹事長の公設第一秘書として科学技術政策の立案にも取り組む。現在は医師として受験生の脳機能やコンディションの管理を専門に扱う心療内科「本郷赤門前クリニック」院長を務める一方、学習カウンセリング協会代表として、受験生のメンタル面の状態に適した勉強方法を指導している。 (文=熊谷わこ、写真=本郷赤門前クリニック提供)
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