入試でケアレスミスを防ぐ5つの方法 受験生のメンタル専門の診療内科医に聞く」
共通テストや一般選抜に向けて、この時期になると勉強のスイッチが入ります。ただ、どんなに準備をしていても、いざ本番となると緊張してしまい、いつもはしないようなケアレスミスをしてしまう受験生は少なくありません。情緒不安定によるケアレスミスを防ぐにはどうすればいいのか、受験生のメンタルケアやコンディション管理に詳しい心療内科医の吉田たかよし医師に話を聞きました(写真=Getty Images) 【写真】続く不合格に「浪人する」 あきらめた息子を変えた母の行動
本番前にケアレスミスを把握する
ケアレスミスには、「解答欄を間違えてしまう」「問題文に『正しくないものはどれか』と書かれているのに正しいものを選んでしまう」など、さまざまなパターンがあります。脳には「その人ならではの癖」のようなものがあって、引き起こしやすいケアレスミスの内容は人によって異なります。せっかく受験勉強を頑張ってきたのに、これでは自分の力を十分に発揮できませんよね。ケアレスミスを防ぐ方法はないのでしょうか。 それが実はあるのです。模擬試験などで、ついやってしまいがちな自分のケアレスミスにはある程度、パターンがあります。これをノートに書き出すなどして、日ごろからケアレスミスのパターンを把握し、気をつけるようにすれば、ミスは減らすことができます。 そもそも人間はミスをする動物です。緊張するとケアレスミスが増えるので、ミスをゼロにしようと思うと、ストレスで逆にケアレスミスを誘発してしまうことにもなりかねません。「対策をしてケアレスミスを3割に減らせればよい」と考えたほうが結果は出やすくなるのです。その上で、試験本番ではできるだけ緊張しないようにすることが重要です。 それでは、受験当日、簡単に実行できる、ケアレスミスを防ぐための5つの対策を紹介しましょう。
①問題の配布中に、目を閉じる
試験当日は、だれでも緊張するものです。受験生に聞くと、試験の最中よりも始まる前、特に問題を配布している時間に最も緊張感が高まるという人が少なくありません。そこで問題の配布中は目を閉じることをおすすめしています。 目を閉じることがなぜ重要かというと、まず一つは脳にかかる負荷を軽くできるからです。人間の大脳は7割を視覚情報の処理に使っていて、そのために大きな負荷がかかっています。目を閉じれば視覚情報が入ってこないので、脳をかなり楽にしてあげることができるのです。例えば、スマホで動画の再生をすると重すぎてフリーズすることがありますが、音声だけにすれば情報の処理量が格段に減ってフリーズすることはほとんどありませんよね。脳もそれと同じです。 試験前に目を閉じることには、もう一つ意味があります。「セカンドハンド ・ストレス(間接的に受けるストレス)」というもので、人間は不安を感じている人を目にしただけでストレスホルモンが増加し、不安感を相手からもらってしまうと言われています。 試験会場は、不安を抱えている人たちの集まりです。目を開けていれば自ずとガチガチに緊張した受験生が視界に入ってきて、自分まで不安でいっぱいになり、情緒不安定によるケアレスミスを起こしやすくなります。逆に自信満々で余裕のある受験生を見たとしても、圧倒されて「ああ、負けた……」などと良からぬ方向に考えて不安になることもあります。目を閉じて必要のない情報をシャットダウンしておきましょう。 試験を「ライバルとの戦い」ではなく、「自分との闘い」にすればするほどメンタルは安定します。