入試でケアレスミスを防ぐ5つの方法 受験生のメンタル専門の診療内科医に聞く」
②10秒かけて、息を吐く
試験の開始を待つまでの間にぜひ試してほしいことがもう一つあります。それは「ゆっくり息を吐く」ということです。 人間の体は息を吐くときに副交感神経が優位になり、緊張しにくい状態になります。息を吐き切るまで10秒くらいかけてゆっくりと吐きます。吐く時間を長くすることでリラックス効果が生まれます。さらに口を小さくすぼめて吐くことで、肺などがある胸郭内の圧力が高まり、リラックス効果がアップします。吐いた後は特に意識をせずに普通に息を吸う――という動作を繰り返してみてください。自ずと緊張感が和らぐはずです。
③問題を解きながら時間配分しない
入試にかかわらず、試験では「時間の管理」がきわめて重要です。試験が始まったら、まず問題用紙全体を見渡して、あらかじめ大まかな時間配分を決めてから解き始める人が多いと思いますが、いざ問題を解き始めると予想以上に時間がかかってしまうこともよくあります。 そんなときは焦って、問題を解いている最中に「あと〇分しかない。この問題に費やした残りの時間をどう配分しようか」などと時間配分の見直しをしてしまいがちです。臨機応変に時間配分を見直すことは大事ですが、問題を解きながらしてはいけません。そのためにワーキングメモリーを使うことになります。それによって肝心の試験問題を解くためのワーキングメモリーが不足してしまい、ケアレスミスをしやすくなります。そればかりか、時間管理も合理的にできなくなります。つまり同時に2つの作業をしようとすると、どちらの効率も落ちてしまう危険性があるのです。 問題を解いている間はそれだけに集中することが大事です。残り時間の確認と時間配分の計算はその一問を解き終えたあと次の問題に進むまでの間に行う、あるいはいったん問題を解くのを中断して行うようにしましょう。
④ノーミスを意識しすぎない
ケアレスミスを防ぐために、「ミスに気をつけよう」と自分に言い聞かせるのは、有効な対策です。しかし、ミスをしたくないという思いがあまりにも強すぎると、1つのミスの警戒に気を取られ、ほかのパターンのミスを起こしやすくなります。例えば、「数字の読み間違いをしないようにしなければ。数字、数字、数字……」とそればかり考えて、プラスとマイナスを間違えてしまうなど、別のパターンのミスに繋がってしまいます。人間の脳は強く「なんとかしよう」と思うと、ストレスが加わって逆のことをしてしまう性質があるのです。 「ケアレスミスを絶対しない!」「ミスをしたら大変だ!」などと恐怖心をあおるような注意喚起をするのではなく、ケアレスミスに対する警戒を何度か思い出すという程度にとどめるのが正しい対策です。具体的には、大問ごとに解き始める前に「落ち着いて解いていこう」と自分自身に言い聞かせるくらいがちょうどいいのです。