優勝した今平周吾、2位木下稜介、3位稲森佑貴、4位金谷拓実……。彼らは難セッティングの日本オープンをどのように感じたのか?
参戦中の欧州ツアーをいったん休んで、地元で日本一の称号を狙った昨年の賞金王、中島啓太。3日目までは我慢のゴルフだった。「苦しい展開だったので、なんとか悪い流れを切りたかったんですけど、ラフに行き続けていたので……。あと1日、フェアウェイを狙って力を出し切りたい。まだ全然チャンスはあると思うので、諦めずに頑張りたいと思います」と最終日をスタート。しかしショットの不調は修正できなかった。「週末苦しかったので、見に来てくれた皆さんには申し訳ないなと思います」と言葉少なに会場を後にした。
最終日、持ち味の粘りのゴルフで2アンダーとし、4位に浮上した金谷拓実は、「ティーショットが本当に大事で、週末は特にそのことだけを考えてプレーして、今日は本当にチャンスも多く作れたし、今できる最大限のプレーはできました。グリーンは難しいし、本当にオープンらしかったけど、来年はもっとドライバーを打てるホールが増えたらいいなと思います。 ドライバーを使用したのは3番ぐらい。やっぱりファンの人もちょっと寂しいかなと思ったから。パー5とかも刻むようになっちゃうから、それは寂しいんじゃないかなと思う。まあでもそれが日本オープンなんですけど。今週も最後まで諦めずにいいプレーができたとは思います」。
2度の賞金王、地元の声援も味方につけ、クールにプレーし続けた今平周吾は、低い球でフェアウェイキープを続け、肝心な場面でパットを入れまくり、オールラウンダーの真骨頂を見せつけてくれた。「距離が残ってもフェアウェイキープに徹したのが勝因です。今日はドライバー1回使用。4日間では6回です。アンダーパーが目標だったので、周りは気にせずに、上がり3ホールでボードを見ました。最近の若い子は、試合慣れしていますし、飛ぶ選手が多いので、安定性とかパッティング、アプローチの技術で勝っていかないといけないと思います。こういう難しいセッティングだと、有利になるときもあります」。 18番のロングパットを決めての、らしからぬ”雄叫び“は、マネジメントに徹した自分へのご褒美だったのだろう。
ギャラリーからは、「ティーショットでドライバーをあんなに持たない選択ってあるんだね」「正確性ってゴルフにこんなに大事なんだね」「プロたちの攻め方が、それぞれ考えられていて面白かった」などという声が聞こえた。ゴルフ力アップにつながる発見がある――それもナショナルオープンの大きな意義かもしれない。 PHOTO/Tadashi Anezaki
週刊GDツアー担当