<AI化>の影響を受けにくいのは「YouTuber」「美容師」「パン屋」…その理由は?AI研究者「カギはフェイス・トゥ・フェイス」
2024年5月にアメリカのオープンAIが、人間とほぼ同じ速さで音声対話ができる対話型AIの新モデル「GPT-4o」を発表し話題になっています。そのようななか、人工知能研究者の川村秀憲教授は「<AI失業>が日本でも増える可能性がある」と危惧しています。そこで今回は、各業種のAI化が今後どれだけ進むのかという見通しをまとめた川村教授の自著『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』から「サービス」業界のAI化について解説します。 【イラスト】ロボットが髪を切ってくれる美容室ができたら… * * * * * * * ◆サービス AI化率10% 子どもが憧れている「お店屋さん」は、まさにAI時代の理想的な働き方に サービス業とは、かたちのないサービスを提供する、もしくは顧客に対して直接サービスを提供する仕事を指しますが、ここではいわゆる「サービス業」というよりは、子どものなりたい職業ランキングでよく見かける、親の目線からは比較的零細な職業について述べていきます。 たとえば「パン屋さん」や「花屋さん」、ほかには美容師やシェフなどが該当します。近年は「YouTuber」も根強い人気ですが、もしかしたらそれもこの項に入れていいかもしれません。 ところで私は、そうした職業は、おそらくAIに代替されることはほとんどない、と考えています。 もっとも、小さなお店やフリーランスで働く人たちはそもそも不安定で、軌道に乗る前に事業が立ちゆかなくなることもあるでしょう。 ただそれがAIによってより大きな影響を受けるかと言えば、あまり関係ないか、むしろメリットのほうが大きいのではないかと思います。
◆供給する「人」自体に価値がある まず、フェイス・トゥ・フェイスが前提である小さなビジネスには、とくにそこに「身体性」が伴っているとなお、AIやロボットに代替される可能性は低くなります。 たとえば美容師やマッサージ師の仕事を、AIを搭載したロボットに代替させること自体は可能でしょうが、では顧客は、著しくコストが安くなっているならまだしも、似たような価格ではたして進んでAIやロボットに施術されることを好むでしょうか。 最初くらいは物珍しいかもしれませんが、やはり人に戻ってくるのではないかと思います。 この背景を考えてみると、結局、小さなビジネスや身体性の強いサービスは、供給してくれる「人」自体にも大きな価値があるからなのではないかと思います。 美容師さんに髪型を相談しながらカットしてもらったり、パーマをかけてもらったりすることには、それ自体に魅力や満足感があります。 一方であれこれ話しかけられるのがいやで、無言で切られたい人にはいわゆる「1000円カット」などの業態があり、これは場合によっては将来ロボットになるのかもしれません。
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