90年代アウトローシーンを風靡:ガルフィーの進化と再生
現在では、地雷系ファッションを好む女の子にも人気のガルフィー。しかし、間口を広げることを狙ってレディースを作った訳ではないという。 リブランドしたときから、ストリート系に落とし込み、ユニセックスな感覚のあるストリートファッションの雰囲気と相まって、自然に地雷系ファッション好きな女の子にも好まれるようになったと石川さんは話す。 「これもよく言うのですが、今で言う地雷系のコたちも、当時のヤンキーと似ているところがあるように思います。全員がそうではないですが、路上にたむろしていたりする姿なんかはヤンキーと通じるものを感じます」
筆者の青春時代は平成ギャルの全盛期。ギャルはギャルブランドを好み、原宿系は原宿ブランドを好んで着ていた時代だ。 同じストリートでも、帰属する街とファッションが明瞭に分けられ、現在のようにミックスされた時代ではない。 たとえば、90年代に流行したシャカシャカのジャージや気合の入ったギャルファッションも帰属性が強まるといった理由で、先輩や周囲に合わせて同じようなファッションに身を包むなど、多少なりとも配慮を強いられるときもあった。 「現代でヤンキーっぽいファッションができるのも、やっぱり本物のヤンキーが現存していないからだと思うんですよね。 今ではヤンキーも空想の世界の人だから、ある意味ではコスプレなんです。昔はファッションのタテ割りがありました。ストリート系のコはストリート系のコしか周りにいないし、パンク系のコはパンク系のコしか周りにいない。 今は、グチャグチャにミックスされた時代ですが、昔は皆それぞれ、好むカルチャーとファッションがきれいに分かれるような時代だったと思います」
沈黙を破るかのように復活を遂げた経緯
突如リブランドして、復活を遂げたガルフィーに驚いた人も多かった。 90年代に一世を風靡したガルフィーも、7年前の2017年頃は、卸先に在庫はあるが、ブランド自体は動いていない状態だったという。世の中的には、なくなったようには見えなくとも、誰も手をつけていない状態で、ブランドとして成長はしていなかった。 しかし、何故ガルフィーはリブランドして、復活したのだろうか。 「ガルフィーをリブランドしたのが7年前なのですが、その頃に僕が今の会社に入社したんですよ。 ちょうどその数ヶ月前くらいに、あるブランドがガルフィーで別注をしたいという話を持ちかけてきたタイミングでの入社でした。ガルフィーというブランドを若い子をターゲットにしてやりたいといった話があったので、当時のヤンキーっぽさを取り入れつつ、ストリート系のファッションに落とし込んで始めたのがきっかけです」