<高校野球>元巨人の川相さん、母校・岡山南高野球部で初指導 非常勤コーチに就任
プロ野球の巨人や中日で活躍し、「バントの名手」としてプロ野球の最多犠打記録を持つ川相昌弘さん(54)が母校・岡山南高校(岡山市北区奥田2)の野球部で非常勤コーチに就任した。「懐かしく、身が引き締まる思い。これまでの経験を生かし、少しでも母校に恩返しできれば」と意気込んでいる。【高橋祐貴】 川相さんは、昨季限りで巨人の2軍監督を退団。その後、元プロ野球関係者が学生を指導する際に必要となる「学生野球資格」を回復するための研修会を受けるなどして、今年2月に資格回復が認められた。母校の野球部の指導に携わりたいとの希望を学校側に伝え、実現した。 川相さんは12日に母校を訪れ、初指導に当たった。練習の冒頭、「日ごろの積み重ねしかチームが強くなることはできない」と選手らに呼び掛けた。その後、ストップウオッチを片手に持ち、選手の送球や20メートル走のスピードを計測。キャッチボールでは軸足の母指球に体重を乗せて投げることや、捕球の際にへそを球に向けることなど具体的なアドバイスをしていた。 個別に助言を受けた1年の大水稜翔(りょうと)さん(16)は「光栄なことで緊張した。投手から捕手に転向したばかりなので、配球や打者の心理について質問してみたい」と目を輝かせた。 川相さんは上達する選手の特徴として、見て盗むことを挙げる。「チーム練習以外で努力するのはもちろん、コーチや監督が他の選手に助言しているのを聞いて実践できるようなアンテナの高い人が伸びる」 今後は解説業の傍ら、月1~2回程度、後輩たちの指導に当たる。「勝つことがどれだけ難しいことか私は知っているつもり。時代が変わっても基本の大事さは変わらない。野球は確率のスポーツなので、犠打や捕球、バットの芯に当てることなど細かい部分の確率を上げるための形作りや練習方法を伝えていきたい」と話した。 岡山南はこれまでに春夏合わせて計10回甲子園に出場しているが、1997年のセンバツ以来、遠ざかっている。昨夏の岡山大会では2回戦で敗退した。春夏2回の出場経験もある川相さんのコーチ就任で、甲子園への復活出場に期待が懸かる。