「しいたけ」と「干ししいたけ」栄養価が高いのはどっち?上手な戻し方と保存方法を栄養士が解説
戻す手間が不要な生のしいたけと保存性の良い干ししいたけ。実は利便性や味だけでなく栄養面でも違いがあるんですよ。栄養価の面で優れているのはどちらなのでしょうか。干ししいたけの上手な戻し方やおすすめの保存方法についてお伝えします。 <写真>「しいたけ」と「干ししいたけ」栄養価が高いのはどっち?上手な戻し方と保存方法 ■生のしいたけと干ししいたけ、どちらの栄養価が高い? うまみ成分の正体はグアニル酸とグルタミン酸。乾燥させたり加熱したりするとうまみと香りが凝縮されます。しいたけ特有の成分エリタデニンは、血中のコレステロール値を下げる働きで注目されています。食物繊維も高く、ビタミンB2も豊富。カサの部分に多いエルゴステロールという成分は、植紫外線に当たると濃縮され、骨の形成に欠かせないビタミンDに変化します。栄養成分表によると、ゆで調理後のものでも、干ししいたけのビタミンD含有量は通常のしいたけの2~3倍にもなっています。 ■干ししいたけの上手な戻し方は? 干ししいたけは、お湯や常温水ではなく、冷水でゆっくりと時間をかけて戻すとひと際おいしく戻すことができます。手早く水洗いしてから、浸かるくらいの冷水に浸し、カサが上向きになるようにラップをして冷蔵庫へ。ある程度やわらかくなったら軸を根元部分から切り落としておきましょう。軸の部分を取り除くことで戻りやすくなります。 戻し時間は、肉厚のものなら半日以上、薄いものなら4~5時間ほど。時間のない時は、ぬるま湯や電子レンジを使ってもOKです。戻す水に少量の砂糖を加えておくと、うまみ成分が流出しにくいといわれています。戻し汁にはうまみ成分だけでなく、水溶性のエリタデニンもたっぷり含まれているため、捨てずにだしに使うようにしましょう。 ■実は冷凍もおすすめ! 冷凍することで細胞内の水分が膨張して細胞壁が壊れ、栄養成分やうま味が溶け出して吸収率が高まるといわれています。生しいたけはカサの部分を使いやすい大きさに切ってから保存袋に入れて、口を閉じる前に空気を抜いて冷凍します。干ししいたけは戻したものを使いやすい大きさに切ってから戻し汁と一緒に保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いてから冷凍しましょう。解凍すると水分が出てしまい食感が悪くなるため、凍ったまま調理して使うのがおすすめです。 食べる前に1~2時間干すだけでも有効だといわれているため、天気のいい日には、通気性の良い場所でザルにのせて天日干ししてみてはいかがでしょうか。干すことで香り成分のレンチオニンも生じ、味や香りもよくなりますよ。 参照: ・「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 ・「食材事典 (学研)」 ・「やさい(幻冬舎)」 ・「からだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店)」 ・「食材大全(NHK出版)」 ライター/大槻万須美 管理栄養士・フードスタイリスト・腸内ケアフードアドバイザー。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。 協力/NS Labo
NS Labo(栄養サポート研究所)