飯間浩明さんと牟田都子さんが語り合う「変わる日本語」。
いまだ〝完成した辞書〟は この世に存在しない。
飯間 『三国』は第八版まで刊行されましたが、これは私たちがまさに命を削って作ったものです。以前のバージョンより絶対よくなっているという自信はあるんです。でも、これで充分だと胸を張れるわけではなくてね。まだまだ完成にはほど遠い気がします。 私たちは、おそらく決して到達することのない完成を求めてずっと旅を続けるんでしょうね。そもそも、言葉自体に完成形はありませんね。常に変化し続ける川面のようなもので、一つの固定した形に留めることはできない。そのつかみどころのなさが言葉の本質だなと、つくづく感じています。 牟田 まさしく同じ気持ちです。
絶えず変化していく言葉。変遷を知ると意外な発見も。
撮影・黒川ひろみ 文・三浦天紗子 取材協力・三省堂
『クロワッサン』1107号より
クロワッサン