昔の地形が由来となった名字の代表格「森」。戦国時代のあの人物もルーツをたどると⁉
森(もり)
「森」は地形由来の名字で、各地にルーツがあります。 「林」が人の手が入って整備されているところを指すのに対し、「森」は人の手が入らない自然な状態のところを指しています。現在のように山の中まで宅地が造成されたり、レジャー用地として開発されたりしていない時代には「森」は各地にたくさんありました。 従って、こうした「森」に因む「森」という名字も、各地でたくさん生まれました。 実際、全国38都道府県で100位に入っているなど、全国に広く分布しています。都道府県単位でみると、徳島県の4位が最高で、香川県、長崎県、三重県を合わせた4県でベストテン入りするなど、どちらかといえば西日本に多い名字となっています。 森家の中で最も有名なのは、元禄赤穂事件の後を受けて赤穂藩主となった森家でしょう。織田信長の近習で本能寺の変で討死した森蘭丸の一族です。 ルーツは相模国愛甲郡森庄(現在の神奈川県厚木市毛利台)で、ここは長州藩主の毛利家のルーツと同じ場所です。この付近はかつて「もり」と呼ばれ、「森」とも「毛利」とも書きました。やがて「毛利」に統一され、読み方も「もうり」となったのです。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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