1000試合出場の遠藤保仁が狙う次なる記録とは?
ウィルス性肝炎で戦列を2度離れたことはあるものの、大きな怪我とは無縁のサッカー人生を歩んできた。試合中に怪我を負わないのはポジショニングに秀でているからであり、日々の練習などでは不必要な負荷をかけないように体との会話を続ける。 ストレスもやがては故障につながると考え、食事にもほとんど制限を設けてこなかった。立ち居振る舞いと同様に私生活でも飄々と自然体を貫いてきたからこそ、前人未踏の数字をさらに伸ばしていけるコンディションを維持できる。 このオフは楢崎さんだけでなく、川口能活さん(43)、中澤佑二さん(41)、同じ1979年度生まれの黄金時代の一人、小笠原満男さん(40)ら、日本代表で喜怒哀楽を共有した盟友たちが続々と現役に別れを告げた。 「世代が近い選手たちが現役をやめる年齢ではありますし、若いときから一緒に戦ってきたメンバーがいなくなるのは寂しい部分もあります。ただ、お互いに努力を積み重ねて、ライバル視しながらやってきた仲間たちを誇りに思うし、そういう選手たちと戦ってきたからこそいまの自分があるとも言える。だからこそ日々努力して、もっと楽しく、もっと上手くサッカーがしたい」 一方で先輩では黄金コンビを組んできた中村俊輔(横浜FC)が、黄金世代のなかでは小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)、曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)、稲本潤一(SC相模原)、本山雅志(ギラヴァンツ北九州)がプレーしている。地域リーグでは九州サッカーリーグの沖縄SVで、同じく黄金世代の高原直泰が代表、監督、そして選手と三足の草鞋を履いて奮闘している。 今年度中に不惑を迎える黄金世代や、さらに上のベテラン勢のなかで、トップカテゴリーであるJ1で最も濃密な軌跡を刻んでいる遠藤は、飄々とした口調のなかにも不退転の決意をのぞかせている。 「自分自身はいまのところ、やめる気はまったくないので」 自身が投入された後に2点を失い、無念のドローに終わった結果を反省し、次の試合に生かせる教訓を探しながら日々の練習で再び落とし込んでいく。公式戦1000試合出場はあくまでも通過点。ガンバの悲願だった2005シーズンのJ1初優勝を選手同士で味わった、宮本恒靖監督へのアピールも込めながら、遠藤はまだまだ上手くなる自分自身の姿を貪欲に追い求めていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)