1000試合出場の遠藤保仁が狙う次なる記録とは?
FCバルセロナを率いた経験をもつカルロス・レシャック監督に見初められ、高卒ルーキーながら先発メンバーに抜擢。堂々のフル出場を果たし、5万2000人を超える大観衆が見守るなかで、延長戦の末に2-1で勝利した一戦を、最も印象に残っている試合として遠藤は迷うことなくあげる。 「プロとしての第一歩だったので、あの試合はよく覚えています」 もちろんデビュー戦だったことだけが、いまも心に残っている理由ではないはずだ。レシャック監督のバルセロナ流サッカーの薫陶を受けた遠藤は、最終的にリーグ戦で16試合、ヤマザキナビスコカップ4試合に出場する。しかし、フリューゲルスでの軌跡はわずか1年で終焉を迎える。 マリノスに吸収・合併されるかたちで消滅したフリューゲルスから、遠藤のデビュー戦でもゴールマウスを守っていた楢崎さんは名古屋グランパスへ移籍。遠藤も京都サンガへ新天地を求めるも、2年目の2000シーズンにJ2降格を喫したことを受けて、翌シーズンからガンバの一員になった。 ガンバで迎えた19年目の戦い。楢崎さんの現役引退とともに、遠藤はフリューゲルスでプレーした経験をもつ最後の現役選手になった。4大会連続でワールドカップ代表に選出されたレジェンドに追いつき、追い越す過程で、フリューゲルスの名前がクローズアップされる状況も生まれるかもしれない。 だからこそ、普段は個人記録よりもチームの勝利を優先させる遠藤は、楢崎さんがもつ631試合のJ1最多出場記録更新に珍しく視線を向ける。 「できれば抜きたいな、と。でも、こればかりはやってみないとわからないので、ひとつの目標としてリスペクトの思いを抱きながら、目指していければいいかなと思いますけど。ポジションは違いますけどやはり大先輩の記録ですし、ここまで来てあらためて正剛さんの偉大さも感じているので」 記録まで10試合に迫り、ガンバは13試合を残す。数字的には今シーズン中の更新も可能だが、ヴィッセル戦を含めた直近の10試合を振り返れば、遠藤の先発は2試合にとどまっている。途中出場が6度を数え、リザーブのまま終えた試合も2度ある。 中盤の底、アンカーのポジションでは、リオデジャネイロ五輪代表の矢島慎也(25)が存在感を高めている。戦術理解度が極めて高いがゆえに、監督が代わってもポジションは必ず約束されてきた稀代のプレーメイカーは、40歳を前にして押し寄せてくる世代交代の波に真正面から抗い、居場所を守りたいと力を込める。 「もちろん何歳になっても先発で出て、チームを数多く勝たせたい。そういう思いは18歳のころから何も変わらないし、ただ単に(年齢という)数字を重ねていっても(しょうがない)、という思いもあるので。ただ、監督が決めることなので、練習からいいパフォーマンスを見せ続けて、あとは自分ではどうすることもできないと思っていますけど」