日産9000人削減はまだ甘い? 本場「ドイツ」も大失職時代へ! 35年までに「19万人」雇用喪失という現実、残された希望は何か?
47兆円投資で業界改革
今回の調査に強い危機感を抱くVDA会長のヒルデガルト・ミュラー氏は、 「私たちの業界の変革は巨大な課題です。ドイツの自動車業界の企業とその従業員は、それが成功するように全力を尽くしています」 と語った。また、2024年から2028年の間に、ドイツの自動車メーカーと部品サプライヤーは研究開発に約 「2800億ユーロ(約47兆円)」 を投資し、工場の改造にはさらに1300億ユーロ(約21兆円)を投資する計画であることも明らかにした。 一方で、フォルクスワーゲンはドイツ国内の少なくとも三つの工場を閉鎖し、数万人の従業員を解雇する計画を発表した。残りの工場も縮小される予定だ。果たして、ドイツの自動車産業はイノベーションに成功するのだろうか。
再エネ関連雇用が急増
2015年にパリ協定で設定された目標は米国、欧州連合(EU)、日本などが2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすることだが、この取り組みの過程でエネルギー部門の環境への悪影響が軽減されることに加え、再生可能発電技術は新たな富を生み出し、21世紀の重要な雇用創出源となるという。 太陽光発電、バッテリー製造、風力発電は、2015年から2050年までのエネルギー転換期間中に雇用を創出する主要な技術であり、電力部門に関連する世界の直接雇用は、2015年の約2100万人から2050年には3500万人近くに増加することが導き出されたということだ。 自動車業界の苦境はドイツだけでなく、欧州全体にも広がっている。 ブリュッセルに拠点を置く欧州自動車部品サプライヤー協会(CLEPA)が2024年10月に発表したリポートによると、2020年以降、欧州の自動車部品業界で約8万6000人の雇用が失われ、コロナ禍以来最悪の雇用喪失に直面していることが明らかになった。さらに、2024年の最初の6か月だけで3万2000人の人員削減が発表されており、リストラの波は当分続くと予想されている。 ドイツ、欧州、そして先の日産自動車の件など、自動車業界でのリストラが進行するなか、失われた雇用をどこで吸収すればよいのかが重要な課題となっている。期待される雇用創出の筆頭は、やはり再生可能エネルギー関連分野だ。 フィンランドのラッペーンランタ・ラハティ工科大学の研究チームが2019年に「Technological Forecasting and Social Change」で発表した研究によれば、電力部門(太陽光発電、バッテリー製造、風力発電)における世界の雇用は、2015年の2100万人から2050年には 「3500万人」(67%増) に増加するとの予測が示されている。2015年のパリ協定で設定された目標に基づき、米国、EU、日本などが2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにする取り組みが進むなか、エネルギー部門の環境負荷の軽減が期待されるとともに、再生可能エネルギー技術が新たな富を生み出し、21世紀の重要な雇用創出源となるとされている。 ・太陽光発電 ・バッテリー製造 ・風力発電 は、エネルギー転換の過程で雇用を生み出す主要な技術である。