USスチール買収禁止 対米投資に冷や水 関西の次世代エネ企業も影響 日本総研・藤山氏
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を禁じた今回の米政府の決定が、労働組合に対する政治的配慮によって行われたことは疑いようがない。このような動きは、今後の日米企業間の提携や協力の動きに水を差しかねないだろう。 米国内ではこれまで、中国企業による投資に対し、安全保障などの観点から懸念をもって受け止められることが多かった。今回の事態は、そのような懸念が日本企業の対米投資にも向けられることを示しているのではないか。 関西にも影響があるだろう。関西には水素や蓄電池など次世代エネルギー分野の有力企業が少なくない。彼らは、新技術の獲得などに向けて米企業への投資や買収などの動きを進めることもあると思うが、今回の米政府の決定はそのような機運に水を差しかねない。 関西経済は中国市場への依存度が高く、その解消に向けて米国など他の市場に目を向けようとしているが、そのような動きにもマイナスの影響があるのではないか。 トランプ氏の米大統領復帰が間近に迫るが、これも事態を難しくしかねない。トランプ氏は関税引き上げを推進する考えで、これにより日本企業は輸出を避けるため米国内での生産を強化せざるを得ない。しかし、対米投資が容易に進められないのなら、日本企業は対応がさらに困難になる。(聞き手 黒川信雄)