フランス国民議会、内閣不信任案を可決 総辞職へ
フランス国民議会(下院)は4日、2025年の社会保障関連予算案を採決なしに強制採択したバルニエ首相率いる内閣の不信任決議案を賛成多数で可決した。野党の極右「国民連合」(RN)と左派連合が賛成に回った。憲法の規定により予算案は廃案となり、バルニエ政権は総辞職に追い込まれた。マクロン大統領は新首相の選定に入る。 フランス国民議会の内閣不信任決議は62年ぶり。バルニエ氏は緊縮型の予算案で財政赤字の削減を目指したが、野党の賛同を得られず、2日に下院の採決なしでの強制採択に踏み切った。仏憲法では、強制採択による予算案の成立は下院で内閣不信任案が可決されないことが条件となっている。フランスの財政赤字は国内総生産(GDP)比で6%に達しており、25年には7%を上回る懸念がある。 6~7月の下院総選挙では、社会党、共産党、急進左派「不服従のフランス」(LFI)などで構成する左派連合「新人民戦線」、マクロン氏率いる中道連合、極右「国民連合」のいずれも過半数を獲得できなかった。マクロン氏は、英国の欧州連合(EU)離脱交渉で首席交渉官だったバルニエ氏を首相に指名し、中道連合と中道右派の共和党を中心とする内閣が9月に発足した。 フランスでは憲法の規定で、解散総選挙から1年以内に議会を新たに解散することはできない。【ブリュッセル宮川裕章】