新設ラッシュの「データサイエンス学部」を選ぶ上での4つの注意点とは?
データサイエンス学部を選ぶうえでの4つの注意点
データサイエンスを学べる大学を選ぶうえでの注意点を4つ挙げます。 (1)大学によって重点を置く学問内容が異なる (2)「データサイエンス×〇〇」といった掛け合わせの分野がさまざまにある (3)「データサイエンス学部」を名乗っていない大学もある (4)全学部生がデータサイエンスを学べる大学もある (1)大学によって重点を置く学問内容が異なる データサイエンスはⒶ数学・統計学・機械学習といった数学・情報学の知識と、ⒷプログラミングといったITエンジニアリングのスキルと、©組織や業務に関するビジネス知識を活用して、莫大なデータの分析や解析を行い、新たな科学的および社会に有益な結論や知見を引き出し、意思決定に役立てる――この3点を融合した学問だと前に書きました。 とはいえ、データサイエンス学部といっても、大学によって重点を置いているポイントが異なります。同じ大学で重点をⒶに置く学部とⒸに置く学部を設置していることもありますので、受験生はⒶⒷⒸのどれを主に学びたいのかを考えて、大学選びをすることをお勧めします。 「データサイエンス」学科やコース、専攻がどの学部の中に設置されているのかに注目するのもひとつの方法です。理学部(山形大学)、工学部(岡山大学)、理工学部(佐賀大学)、情報学部(群馬大学)、情報工学部(九州工業大学)、経営学部(宇都宮大学)、国際経済学部(新潟県立大学)、社会学部(立教大学)など、学部はさまざまなのです。 (2)「データサイエンス×〇〇」といった掛け合わせの分野がさまざまにある 現代は世の中のあらゆる業界でさまざまなデータを収集していますから、例えば「医療」×データサイエンス、「薬学」×データサイエンス、「栄養」×データサイエンス、「農業」×データサイエンス、「園芸」×データサイエンス、「気象」×データサイエンスなど、データサイエンスはあらゆる分野で必要とされています。 本記事の最初に示した大学一覧をもう一度ご覧ください。「データサイエンス学部」だけでなく、「データサイエンス学科」もあるのがわかります。データサイエンス学科は、理学部や理工学部、情報学部、経済・経営学部だけではなく、食物栄養系や健康系の学部など、さまざまな学部の中に設置されているのです。データサイエンスという名称は同じでも、大学によって「〇〇」×データサイエンスの〇〇に入る学問系統は異なります。 「受験生自身が強く関心を持ち、より深く学びたい〇〇とは何か」をよく考えて、大学HPやオープンキャンパス等で確認することが重要です。 (3)「データサイエンス学部」を名乗っていない大学もある 大学受験生・保護者の間でもデータサイエンスへの注目が高まっていて、進学先として検討する人も増えてきているように思います。学びたい学問から大学探しをする際に気をつけたいのは、「データサイエンス学部」「データサイエンス学科」という名称がついていなくても、データサイエンスを学べる大学もあるということです。 例えば、東京大学や北海道大学、東北大学の工学部、東京工業大学(2024年10月から東京科学大学)情報理工学院、名古屋大学情報学部、電気通信大学情報理工学域、横浜国立大学経営学部や経済学部のDSEP、慶應義塾大学理工学部や総合政策学部・環境情報学部、明治大学総合数理学部、同志社大学文化情報学部、立命館大学情報理工学部、東京理科大学では経営学部ビジネスエコノミクス学科と工学部情報工学科で、専修大学ではネットワーク情報学部で学ぶことができます。 大学HPなどで教員の専門分野を調べてみると、「データサイエンス」の名称がついていなくても、データサイエンスを学べる研究室を持つ大学があることがわかります。学部・学科名だけで判断するのではなく、カリキュラムやプログラムが用意されているか、どのような研究をしている教員が指導しているのかを確認すると、大学選びの幅が広がるでしょう。 とはいえ、受験生や保護者が独力で調べるのは、労力のかかることです。志望校選びに困ったら、学校や塾などの先生に質問してみるとよいでしょう。 (4)全学部生がデータサイエンスを学べる大学もある 今後、データサイエンスは最低限のビジネススキルとなっていくのではないかと思います。文部科学省は、デジタル時代に必要な「数理・データサイエンス・AI」の知識とスキルを身につけるための教育プログラムを認定する制度「MDASH」を始めました。 この制度では、2つのレベルを認定しています。デジタル社会の基礎的な素養としての、初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得することを目指す「リテラシーレベル」と、自らの専門分野において、数理・データサイエンス・AI教育を応用・活用することができる応用基礎力の習得を目指す「応用基礎レベル」です。 特定の学部の学生が対象のプログラムを用意している大学と、どの学部の学生でも受講できる大学の2パターンがあります。例えば、早稲田大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、中央大学、法政大学、学習院大学などは、どの学部の学生でも受講可能です。詳しくは、文部科学省の「認定・選定校一覧」で参照することができます。 このほかにも、東京都立大学のように主専攻(各学部・各学科)に加えて、データサイエンスを副専攻として学べる大学もあります(東京都立大学の場合、卒業時に副専攻コース修了証書が授与されます)。受験生・保護者の大学選びのひとつの参考項目として、チェックしておくのもよいでしょう。