なぜこのタイミングで西武は監督休養のカードを切ったのか? 背景にある"誤算と関門"
西武ライオンズは5月26日、松井稼頭央監督の休養と、渡辺久信GMの後任監督代行就任を発表した。 【動画】打った瞬間の圧巻弾! マキノンの日本時代のホームランをチェック 松井監督は就任2年目、昨季5位に沈んだ反省から何とかチーム浮上を目指していたが、開幕45試合を経過し、15勝30敗のリーグ最下位と低迷。志半ばにしてチームを去ることになった。 日本ハム戦から始まった泥沼の8連敗から、オリックス戦に連勝を果たしたタイミング。指揮官は交流戦に向けて前向きなコメントも残していただけに、このタイミングでの休養発表にはSNS含め、様々な意見が上がっている。 チームは開幕から苦しさが伝わっていた。新戦力として期待された両助っ人のヘスス・アギラ―、フランチー・コルデロも機能せず、主軸が定まらないことで日替わり打線となり、チーム打率「.214」は12球団ワースト、118得点はリーグワーストと深刻な貧打がチームの足を引っ張った。 FAで主砲、山川穂高をソフトバンクに放出した影響も大きな穴となった。山川はここまで打率「.250」ながら、12本塁打、45打点とリーグ二冠をマーク。首位を走るチームの大きな力となっている。 昨年来から課題とされる若手の有望株がなかなか育たないことも誤算とされた。26日のオリックス戦で逆転打を放った22年のドラ1、プロ2年目の蛭間拓哉などもいるが、チームを底支えする戦力が求められた。 45試合が経過した時点での休養勧告は見切りが早いとの声もあるが、球団としても6月には親会社である西武ホールディングスの株主総会が控える。 6月21日に予定されている同社の株主総会においては昨年は、高橋光成、今井達也らの『チームロン毛』が株主から糾弾される一幕もあった。開幕から低迷するチーム状況において、説明が求められることは必至とあって、フロントとしても"けじめ"が求められた事情も見え隠れする。 一方、このところの常勝軍団の低迷には毎年のように主力をFAで欠き、かつ適切な補強がなされていないという根源的な課題も指摘されている。2018年オフには浅村栄斗が楽天へ、22年オフには正捕手の森友哉はオリックスに、23年オフには山川がともにFA権を行使し、ソフトバンクへ移籍となった。メジャー帰りの秋山翔吾も広島を選択と育ててきた主力はどんどん外へ出ていき、助っ人補強は当たらずと苦しい側面はあった。長期的な視野に立った補強、またこのチームで戦いたいと思わせる魅力的なチーム作りが再建には欠かせないポイントともなる。 28日の中日戦(バンテリン)からは渡辺監督代行兼GMが指揮を執る。08年にチームを日本一に導いた手腕をどのように発揮するのか、まずは注目を集めそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]