【蛯名正義コラム】セオリーにとらわれない騎乗ぶりは「さすが武豊」 かつての戦友たちの技術が光った昨年 1年でも長く乗り続けてほしい!
【蛯名正義コラム】 東スポ読者の皆さま、1か月のご無沙汰でした。調教師の蛯名です。本年もよろしくお願いいたします。 まずは昨年の厩舎の総括から。前回の当コラムでも書いた通り目標はJRA20勝でしたが、結果はJRA18勝と地方交流1勝の計19勝。残念ながら目標には届きませんでした。 1か月前には達成できそうな手応えでしたし、人気になる馬も送り出してきたんですが、勝てそうで勝てず…。いくら状態が良くても、番組選びやメンバー構成、実戦での立ち回りなど、勝つためには様々な要素が絡み合うのが競馬。この世界に足を踏み入れて久しいですが、改めて簡単ではないなと痛感しているところです。 一方、競馬界全体では日本馬の海外での活躍がこれまで以上に目立った1年でした。意外にもGⅠ勝利はゼロだったそうですが、ケンタッキーダービー、BCクラシックというダートの最高峰の舞台でともに3着と健闘したフォーエバーヤングの走りは本当に素晴らしかったです。またドバイや香港のように、日本馬が大挙出走した米国のブリーダーズカップも大いに見どころがありました。日本のダート馬のレベルの向上に加えて、扱う人間のレベルアップも目を見張るものがあります。 また7日に発表されたJRA賞ではドウデュースが年度代表馬に選ばれました。秋の天皇賞、ジャパンCで見せた走りはインパクト大でしたし、最後の直線で見せた鋭い切れ味が産駒に受け継がれれば、種牡馬としても活躍してくれそうですね。 ドウデュースの活躍と同時に見逃せないのは(武)ユタカの手腕。“スローペースだから前”とか“ハイペースだから後ろ”というセオリーにとらわれることなく、その馬の持ち味を信じて、フルに能力を引き出した騎乗ぶりは「さすが武豊」と言わざるをえません。自分と同級生の55歳ですが、その技術は今なおトップレベルです。 大ベテランの技術といえば、1歳上の(横山)典ちゃんのダービー制覇もすごかったし、2歳上の(柴田)善ちゃんも随所で光る技術を見せていましたね。自分も同世代で競った戦友として本当に誇らしいです。皆さんにはこれからも元気で、1年でも長く乗り続けてもらえたらなと思います。 そんなわけで最後に2025年の抱負を。成績的には、今年こそ最低20勝。できることなら30勝くらいしたいのが本音です。馬主さんたちには、それくらいの馬を預けていただいていると思っているので。あとはやっぱりGⅠ制覇。勝てないまでも、そういうステージに管理馬を送り出せるように、日々の仕事に全力を尽くしていきたいと思います。
藤井 真俊