車椅子への理解を深めたい 障がい者を育てた経験から誕生した「全席車椅子」のカフェ
――実際にカフェを利用した車椅子のユーザーは、どのような感想を述べていましたか。 「みんなが車椅子だから、気が楽になった」とおっしゃいます。車椅子が必要な方が飲食店へ入る場合、ご家族や学校の担任であったり、ヘルパーさんだったり、誰かが付き添っている場合が多いんです。そんなとき、実は内心「気を遣わせている」「自分だけ特別扱いされている」という点にストレスを感じていたそうなんですよ。でもこのカフェだと「全員が車椅子だからフラットな気持ちになれる」と。 さらに周囲から「車椅子の操作を教えて」と声がかかる。自分が周囲に教えたりサポートしたりする立場になったことがとても新鮮だったとおっしゃっていましたね。 最近は「このカフェをInstagramで知った」という人が増えてきました。遠方からわざわざお見えになる方もいらっしゃいます。若いご夫婦と障がいがある車椅子の女の子とベビーカーの赤ちゃんの家族4人で、なんと名古屋から来てくださったんです。しかも、この店を訪れるのが目的だといって。そのときは「このカフェを開いてよかった」と思いました。苦労が報われた気がしましたね。 ――今後はどのような展開を考えておられますか。 車椅子で気兼ねなく入店できて快適に過ごせるお店が、観光地と言われている場所にはせめて一つはあってほしいと願っています。そのためにもこのカフェがモデルケースとなるよう、堅実にやっていきたい。このカフェの業態が各地に浸透し、もっと増えていったらいいなと思っています。
朝日新聞社