開幕戦は新パターで記録的V!世界屈指のショットメーカー松山英樹が「パット名人」になる予感(羽川豊)
【羽川豊の視点 Weekly Watch】 ハワイからうれしい「新年の挨拶」が届きました。 【写真】松山英樹 イライラ絶頂で取材拒否、直行した練習場でもクラブ叩きつける 松山英樹が米男子ゴルフ今季開幕戦「ザ・セントリー」(ハワイ州プランテーションC atカパルア=7596ヤード・パー73)で、ツアー記録の通算35アンダーで11勝目を挙げたのです。 毎年スコアの伸ばし合いとなる大会ですが、それにしても圧巻のプレーでした。会場はアップダウンが激しく、フェアウエーもフラットなエリアはほとんどない。前後左右に上下するライから、グリーンの傾斜を読んでピンに寄せていく技術は、さすが世界屈指のショットメーカーです。とはいえ、素晴らしいショットもパットが入らなければスコアにならず、気持ちも乗っていけません。これまでの松山にはそのような試合が何度かあり、本人も試行錯誤を繰り返してきたはずです。 そのパットが今回はおもしろいようにカップに吸い込まれました。長いの短いの、上り、下りにスライス、フックも関係なし。グリーン上で「あれ!?」という表情は皆無に等しく、ライン読みやタッチもほぼ完璧。ショットの精度が生きた結果が、2イーグル33バーディー(2ボギー)につながったのです。 勝利に大きく貢献したのが、今大会で初めて使ったセンターシャフトのピン型パターです。 プロはパターを選ぶ際、ヘッドやフェース面がどう見えるかといった好みの他、グリップの太さとシャフトの長さなどにも個性が出ます。握って構えて、ストロークした時、ヘッドがスムーズに動き、打感も良ければ、距離感に誤差は生じません。切れそうなラインも自信を持って打てます。 しかし、同型のヘッドで、バランス、グリップ、長さまでまったく同じにしても、打ってみると微妙に感覚が違うから不思議です。 松山にとってこのセンターシャフトのパターは、よほどしっくりきたのでしょう。テイクバックがとてもスムーズで、狙ったラインへしっかりストロークできていた。 「不安はまったくない」という心理状態がテレビ画面からも伝わってきました。 プロはよく「バーディーが一番のクスリ」と言います。1試合でこれだけバーディーの山を築けば、新しい相棒は当分手放せないでしょう。 何かを掴み、パットの不安が解消されれば、あとは体調管理だけ。2025年はメジャー2勝目に向けて、これ以上ないスタートを切ったと言えましょう。 (羽川豊/プロゴルファー)