中国軍の活動が空でも海でも活発化→国民の命を守る航空自衛隊はどう対応?
● 中国軍の活動は海でも活発化している 航空自衛隊 那覇基地レポート第三弾。前回は、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進する「スクランブル」が多いときには年間1000回以上あること、そしてかつては対ロシアのスクランブルが多かったが、2012年以降は中国の飛行機が多数飛来するようになり、ここ10年は対中国のスクランブルが多くなっていることをお伝えした。引き続き、防衛省 航空自衛隊 南西航空方面隊 司令部 防衛部長 奥田将善氏のインタビューをお届けする。 F:中国軍の活動は、空だけでなく海でも活発化していると聞いています。先日は中国軍機が歴史上初めて日本の領空を侵犯しましたが、海の方はどうでしょう。 防衛省 航空自衛隊 南西航空方面隊 司令部 防衛部長 奥田将善氏(以下、奥):中国軍は海上でも活動しています。本年9月には中国の空母を含む艦船が与那国島と西表島の間を航行し、一時は接続水域内にも侵入しました。中国海軍の空母が日本の接続水域を航行したのは初めてのことです。 F:それは、法的に問題はないんですか……? 奥:接続水域は公海ですから、国際法上外国の船も航行することが可能です。
● 接続水域と領海はどう違う? F:ところで接続水域とは何ですか。領海とはどう違うのですか? 奥:領海は先ほど申し上げた通り、基線から12海里までのエリアを指します。簡単にいうと、その先の12海里が接続水域と呼ばれています。領海で12海里、接続水域で12海里。トータルで24海里(約44km)です。主権が及ぶ水域が「領海」、公海の一部でありながらも、領海内における通関、財政、出入国管理又は衛生に関する国内法令上の違反行為を防ぐため、一定の権限が及ぶのが「接続水域」と考えてください。 F:中国軍の空母がその接続水域を通過した。そうでした、中国は空母を持っているんですものね。確か、ウクライナから空母を買っていましたよね。洋上ホテルに改装すると言って買ったのに、結局、思いきり軍事利用をしているという……。ネイネイ?レイネイ?そんな名前の空母じゃなかったでしたっけ。 奥:ウクライナから購入した空母は「遼寧」(リョウネイ)ですね。それをベースに中国で国産した「山東」の2隻を保有しています。さらに、3隻目の「福建」が運用試験中で、加えて4隻目の建造も報道されています。やがて4隻の空母が常時稼働することになるかもしれません。 F:空母は当然飛行機を積んでいる。領海、あるいは接続水域ギリギリまで飛行機を運んできて、そこからパッと離陸されたら数分後には地上への攻撃が可能になる。すると相手は船なのに、海自だけの問題ではなく、空自にも大きく関わって来る可能性がありますね。この空母が導入されてからスクランブルの数が増えたりはしているのですか? 奥:この地図を見てください。これが石垣島。こちらが那覇です。ご覧の通り石垣島の領空に対して、我々がいる那覇からはかなりの距離がある。例えば石垣沖で空母から艦載機が離陸する場合、先んじて我々も緊急発進して対応しなければ間に合わなくなってしまいます。