九州場所の番付表を手に撮影に応じる大の里

　日本相撲協会は28日、大相撲九州場所の番付を発表し、秋巡業を感染症で途中離脱していた新大関大の里（24）＝二所ノ関＝が、久々に元気な姿を見せてスタートダッシュを宣言した。新入幕は獅司（27）＝雷＝と朝紅龍（26）＝高砂。春場所で新入幕優勝を果たした尊富士（25）＝伊勢ケ浜＝が3場所ぶりに幕内に復帰した。 　落ち着いた表情で質問に答えた大の里が笑顔も見せた。「アデノウイルス感染症」と診断されて途中離脱した秋巡業中盤以来、約半月ぶりの公の場となったのは福岡市の二所ノ関部屋宿舎での会見。新大関としての期待を背負う15日間に向け、問題なしを強調した。 　「回復しました」 　9月中旬に熱や鼻の不調を訴えてダウン。数日は巡業に同行したが、症状が続いて帰京した。10日間ほどの静養を経て体を動かし始めており、四股やすり足を重視する稽古同様、シンプルに体と対話して福岡入りに間に合わせた。今後はまず、相撲を取る稽古の再開を目指していく。 　そんな静養中の大の里のもとに、父親の知幸さんから届いた「中村家の処方箋」は果物を多く取って寝ること。体の異変を察知してから巡業を離脱するまでは、会場到着と同時に横になって少しでも消耗を防いだ。 　稽古ができなくても土俵入りに参加する日もあった。「ファンがたくさん来てくれた。しんどかったですけど、前に立ってという意識でした」。大関の地位の重みと向き合った。地元の石川県津幡町で来年4月7日に巡業が行われることも決まった。「上を目指して、石川の皆さんにいい報告ができるように頑張りたい」。励みが増えた。 　ファンが期待するのは2006年夏場所の白鵬以来、18年ぶりの新大関優勝だ。「しっかり初日から流れをつかみたい」。ざんばら、ちょんまげ姿で駆け抜けた激動の2024年を締めくくり、番付の頂点を目指す新たな一年につなげる。