東京資源が中国銅メーカーの日本再生原料調達拠点「恒吉」商権取得。立ち上げから4年、役割終え撤退
銅スクラップを主軸とする専門商社の東京資源(本社・神奈川県横浜市、社長・布村文雄氏)は、中国江西省で銅線や銅棒など銅製品を生産する恒吉集団(中国恒吉)の日本における再生原料集荷機能を担っていた恒吉(神奈川県横浜市)の商権を取得し、ネットワークを拡大した。中国恒吉が撤退を決めたことに伴うもの。同社は中国のスクラップ輸入規制を背景とする再生原料調達懸念から国外拠点を設けて調達機能を強化したが、立ち上げから4年経ち、中国での安定調達にめどが付いたことで日本に集荷機能を置く意義が薄れた。商権取引額は非公開。 中国は2018年に第7類と呼ばれる銅を含む雑品スクラップの輸入規制を実施。中国では従来、輸入した雑品スクラップを解体・加工して再生原料を生産していた。しかし母材の輸入ができなくなる規制を受けて、当時の中国銅メーカー間で生産に見合う再生原料が今後手配できなくなるとの懸念が高まることになった。 そうした中、中国恒吉は雑品スクラップの輸入元であった日本で集荷から選別・加工まで行い、原料を調達できないかと画策。同社の相談先となった布村社長が20年に恒吉を立ち上げ、資本面でのバックアップを受けながら、初年度は月当たり500トンほどの原料を取り扱った。 しかし今年の恒吉の取扱量は立ち上げ当初の約3分の1まで減少しており、中国恒吉からの引き合いが弱まっている。布村社長によると、中国恒吉の事業は堅調とみられ、中国内での発生増や電気銅、銅二次合金の使用によって原料調達が安定し始めた中、海外からの原料調達価格に割高感が出てきたことが影響したもよう。 東京資源は恒吉の商権を今月1日付で取得。同社はこのほど、商権譲渡に合わせて説明会を開き、布村社長は「中国恒吉は日本から撤退したが、当社との関係は引き続き良好。日本からの輸入を止めたわけではないため、販路の一つとして今後もお付き合いしていく」と方針を述べた。 また、恒吉の立ち上げから解散まで携わった布村社長は、中国需要家・リサイクラーの日本への進出動向についても併せて言及。「今後もトライは増えるだろう。しかし今回のようにメリットが合わなければ撤退することもあり、定着するかはわからない」と見解を語った。