学校現場への影響も甚大「共同親権」何が起こる? 進路選択や特別支援、不登校対応なども混乱か
「子どもの利益」と「子どもの意見」の尊重を
以上のような深刻な懸念をどう払拭できるのか。法律の運用に当たっては、両当事者の同意がないのに裁判所が共同親権を決定することがないよう徹底すべきであり、協議離婚でも共同親権を選択するリスクを周知徹底する必要がある。 共同親権を選択したことで発生する子どもの被害を防ぐため、「日常」「急迫」の要件をもっと広く認め、かつ明確なガイドラインを定めること、高葛藤事案では必ず監護権者を指定し、共同から単独への親権者変更を柔軟に認めることが求められる。 今後、共同親権導入によって、子どもの虐待が放置され、貧困が進めば、教育現場への影響は避けられない。日々刻々と成長する子どもに適時に適切な対応ができなければ、子の成長発達の権利は著しく阻害されるだろう。 改正法は、親権行使について、子どもの健全な成長発達を目的とし、子どもの利益のために行使しなければならないと定め (817条の12)ており 、この点は誰も否定できない。 学校現場の負担が大きいことは想像にかたくないが、子どもの利益と子どもの意見を何より尊重し、親権の濫用的行使に厳しく対応し、1人ひとりの子どもが両親の選択のゆえに制度の犠牲になることがないよう、明確な対応方針で臨んでいただきたい。 (注記のない写真:Ystudio/PIXTA)
執筆:伊藤和子・東洋経済education × ICT編集部