理研ビタミン・山木一彦社長 「食品」「改良剤」「ヘルスケア」3本柱の事業展開強化 海外で〝ふえる〟需要に応える
【トップ直撃】 理研ビタミンのルーツは、日本初の民間総合研究所として発足した理化学研究所だ。ビタミンAの製造部門を引き継ぐ形で発足した。「ふえるわかめちゃん」シリーズなど家庭用食品の知名度は高いが、売上高の比率は約14%。約80%を業務用食品や改良剤などBtoB(企業間取引)事業商品が占める。海外での需要も高く、山木一彦社長(65)は「海外での事業展開を一層強化していく」と話す。 積極的な製品開発 ――事業の柱は大きく3つですね 「『ふえるわかめちゃん』やノンオイルドレッシング、食塩無添加の『素材力だし』などの食品、改良剤(食品用、化成品用)、ヘルスケアの3つのコア事業を軸に積極的な製品開発を行っています。ヘルスケア事業は、祖業である天然ビタミンA製造の流れを受け継いでいます。現在、ビタミンAは製造していませんが、医薬品や健康食品の原料として各種ビタミンを販売しています」 ――「ふりかけるザクザクわかめ」が好調です 「ふりかけの購入者は一般的に子育て世代の40代女性が多いのですが、『ふりかけるザクザクわかめ』は50代以上の男女が自分用に買い求める傾向にあります。ご飯のお供やサラダやお豆腐など他の食品と組み合わせて便利にお使いいただいています。2022年9月に発売、1年半で500万袋を突破し、幅広い世代に支持されています」 ――食品用改良剤が使われている身近なケースは 「パンや和洋菓子は時間がたつと硬くなりますが、当社の食品用改良剤を使うことで家庭に届くまで柔らかさを保つことができます。またカップ麺や袋麺向けの粉末スープも製造し、即席麺メーカーに提供しています。麺の酸化防止に役立つビタミンEや、麺をほぐれやすくする改良剤なども扱っています」 ――化成品改良剤も多くの分野で使われています 「曇りを防ぐ防曇(ぼうどん)剤、プラスチックを柔らかくする可塑(かそ)剤、車の内装などに使う樹脂の静電気を抑える帯電防止剤、洗顔料などの泡立ちをよくする起泡剤などです。スーパーで肉や野菜を買うとき、包装用のラップが曇らず目利きできるのは当社の防曇剤が使われているからです。農業のビニールハウスでも使われており、曇りを防いで日差しが入り、野菜が元気に育ちます」 北米に〝拠点〟新設