マイナス0.5差で楽天首位の珍現象を生んだ「8試合差」はどう響く
パ・リーグの首位戦線に異常が起きている。楽天との首位決戦を2勝1敗で勝ち越したソフトバンクは、貯金数で楽天をひとつ上回ったが、試合数が8試合多いため、順位を決める勝率では、楽天.657、ソフトバンク.645となり、ゲーム差「マイナス0.5」で楽天がかろうじて首位を守るという珍現象が起きた。 ゲーム差は、当該2チームの間の貯金、借金と呼ばれる「勝ち数と負け数の差」に基づいて計算された数字で、原則としては貯金が多いチームの勝率が高くなるが、試合数や引き分け数に違いがある場合には、逆転現象が起きる。実は、ソフトバンクと日ハムが激しい首位争いを演じた昨年の8月にも、何度かマイナス0.5ゲーム差ながら勝率で上回るソフトバンクが首位を守るという珍現象が起きていた。この場合は引き分け数の差が勝率の差を生んだ。 雨天中止や試合日程の違いで、残り試合数は楽天がソフトバンクよりも8試合多い。首位を取りそこなった ソフトバンクの工藤監督は、「いい戦いができた。こういうい戦いをするとチーム力がついてくる」と、1点差ゲームを2つ手にした試合内容を評価。一方、楽天の梨田監督は「結果がすべて」と厳しい表情だったが、この「8試合差」は、今後、どうペナントレースに影響を与えるのだろうか。 パ・リーグの野球に詳しい評論家の池田親興さんは「8試合差」が両チームに及ぼすメリットとデメリットをこう見ている。 「常識的には試合数を多く残したチームが有利とされている。順調に進めばソフトバンクが8試合先に全日程を終了することになるが、ソフトバンクが優勝するためには、楽天が残り8試合に全勝しても追いつけないゲーム差が必要。4ゲーム差以上で首位に立っていなければならないわけだが、現状の楽天のチーム力を考えると、そこまでの差を開けることができるかどうか。ソフトバンクにしてみれば、そのノルマは大きなプレッシャーだ。楽天の方が有利にペナントレースを戦えそうだが、残り8試合の勝ち負けで、優勝が決まるとなると、その戦いは未知の領域になると思う。2013年の日本一を知るメンバーの銀次、嶋、則本らが、投打に残ってはいるが、ここ3年、そういうプレッシャーのある試合を経験していない。その部分が楽天の不安要素ではある。いずれしろ両チームは、まだ直接対決を14試合も残している。ここでの勝ち負けが優勝を争う大きなポイントになることは間違いない」