フォルクスワーゲン、2026年にEVモデル全面刷新へ エンジン車縮小と「ポロ」改良を明言
新型「ID.2」の発売時期も判明
フォルクスワーゲンは、現行EVモデルのベースとなっているMEBプラットフォームを大幅にアップグレードし、2026年から改良型を発売する予定だ。 【写真】伝統ある「GTI」のEVがついに登場【フォルクスワーゲンID.GTIコンセプトを写真で見る】 (16枚) 同社の研究開発部門責任者であるカイ・グリューニッツ氏は、2025年の新型SUV「ID.2」の発表、2025年のポロの改良、排ガス規制ユーロ7の開始に向けた内燃エンジン車の縮小、米リビアンとの今後の関係などとともに、このEVの開発状況を明らかにした。 グリューニッツ氏は2026年から現行のIDシリーズに「大きな改良」を加えるとして、「原点回帰」となる新しいデザイン、バッテリーコストや全体的な性能の改善、新機能の追加などを挙げた。 新生IDシリーズの外観は、ID.2allコンセプトにインスパイアされたものになるという。グリューニッツ氏はデザインの観点から「フォルクスワーゲンの象徴」に近いものであり、フォルクスワーゲンを再び「愛されるブランド」にしたいという願いも込めて、大きく飛躍することになるだろうと語った。 同氏は、ID.2allコンセプトの市販バージョンの開発が2025年末から2026年初頭の発売に向けて順調に進んでいることを認めた。「顧客は変化があったこと、そして予想よりもはるかに大きな変化があったことに気付くだろう」として、ID.2allが新時代の「出発点」になると表現した。 2025年9月に開催されるミュンヘン・モーターショーでは、MEBエントリー・プラットフォームから作られる同社2番目のモデルとして、ID.2のSUVバージョンも予告されるという。 ID.2のGTIバージョンの計画もあり、こちらはすでにコンセプトカーが披露されている。グリューニッツ氏は、EVの性能を高めるのは「簡単」だが、歴代のゴルフGTIに受け継がれてきた「DNA」を加えるのはそれほど簡単ではないと述べた。それでも、「皆さんが驚くような」アイデアを乗せて2026年に発売されるとのこと。 SSP(スケーラブル・システム・プラットフォーム)の開発も続いているとグリューニッツ氏は言う。SSPは小型車からスーパーカーまであらゆるモデルのベースにできるという点で、フォルクスワーゲン・グループにとって最も重要な長期的プラットフォームと考えられている。 先週リビアンと立ち上げられた合弁事業はSSPにとっても重要な意味を持つ。フォルクスワーゲンはリビアンのEVプラットフォームの知見を活用することになるからだ。 「彼らは従来のOEMよりもはるかにスリムでスピード感がある。中国で見られるものに近い。我々はそれを、高品質基準でクルマを製造する当社の知識と組み合わせる」とグリューニッツ氏。 内燃エンジン車については、欧州で新しい排ガス規制ユーロ7が実施されれば、「現在よりもスリムなラインナップ」になるという。どのモデルが廃止されるかは明言しなかったが、少なくともポロは対象外で、大規模なアップデートを受けると述べた。 グリューニッツ氏は、内燃エンジン車用のMQBとEV用のMEBのような並列プラットフォームへの投資は「多大な努力」を要するが、EVの普及が予測通りではなかったため、MQBの終了時期は決まっていないと述べた。実際、考えられる選択肢の1つとして、電動パワートレインを再びMQBに統合する可能性もあるという。 フォルクスワーゲンの販売マーケティング部門の責任者であるマーティン・サンダー氏は、最終的にはさまざまな技術に対応するプラットフォームを持つことが「顧客にとってより良いことだ」と語ったが、「次世代を見据えたとき、我々は(個々の)特徴を維持しつつ、プラットフォーム全体でコンポーネントを賢く使用する非常にスマートな方法を見つけなければならない」とした。
マーク・ティショー(執筆) 林汰久也(翻訳)