【素敵な物語】ビートルと相並ぶVWのレジェンド この65年前のVW T1の走行距離はたったの348km!感動の復活ストーリー
1960年製のVW T1ドカ(Doka):ラルフ グリーザーが所有するこのドカは、その生涯のほとんどを止まったままだった。64年間で、走行距離はわずか348km。
1948年、ヴォルフスブルク:シリーズの始まり 国中で建設、いや再建が進められている。そのためには適切な車両が必要である。ヴォルフスブルクのVWも、この分野の市場が十二分に有利であることを認識し、1948年に「VWタイプ1ビートル」をベースにしたデザイン案を提示した。翌年には最初のテストが行われ、年末には記者会見が開かれ、「タイプ2 T1トランスポーター」が発表された。1950年に生産が開始され、当初はパネルバンとミニバス、1951年には2人乗りの運転台を備えたフラットベッドバンが登場した。1958年11月3日、「T1クルーキャブ」、略して「ドカ」が初めて生産ラインから登場した。このコンセプトは完全に成功し、1967年の生産終了までに約180万台が販売された。そして、1960年にハノーバーのVW工場で生産された1台が、今回の主人公である。
1960年、レムシャイト:駐車中の作業車
起業家ウィリー ヴィエルボウスキーは工作機械ビジネスを営んでおり、適切なトランスポーターが必要だった。彼が選んだのは、当時の典型的なライトグレーカラーの実用的な「T1」だった。彼はヴッパータールのフォルクスワーゲンディーラー、ジャック アダムスにクルーキャブを注文した。1960年4月8日、ヴィエルボフスキーはアダムスから新車を受け取る。引き渡し検査は走行距離3kmで行われた。新オーナーは「T1」をレムシャイトのガレージまで運転し、そこに駐車した。どこにでも、というわけではなく、壁の裏側に、目立たないように隠れるように。これには理由がある。噂によると、奥さんは車の購入に満足していなかったらしい。ヴィエルボフスキーは、ゲーテの格言「知らぬが仏」に倣って状況を調査し、妻の視界からVWを取り除いたのだった。
それは、覆い隠されてそこにあり、その後数年間はめったに動かされることはなかった。1962年5月14日、「ドカ」は最初の点検のためにジャック アダムスのワークショップに行かなければならなかった。走行距離は118kmを示し、過去2年間の走行距離が信じられないほど少なかったことを意味する。検査後、車はレムシャイトに戻り、以前あった場所に駐車される。「T1」はほとんど道路を走っていない。それからしばらくしてヴィエルボフスキーは亡くなり、彼の妻はそれからもこの車について何も知らなかった。結局、現在の走行距離は342km。その後も、人知れずそこに置かれ続けた。何年もの間、いや何十年もの間、何も起こらなかった。