命を守るローリングストック――南海トラフ地震、首都直下地震に「自助」で備える
自分の命は自分で守る――ローリングストックの勧め
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発令されたことで、多くの人が地震への備えを見直し、水や缶詰、非常食、家具の固定具などの防災用品が品薄になるほど売れた。しかしそれは、人々が日頃から「被災時に必要な物資」をまるで備えていないという事実を、逆説的に示したといえるのではないか。 非常食というと、乾パンやアルファ化米など5年以上日持ちする食べ物をイメージする人が多いと思う。だが、被災後1週間、水と乾パン、アルファ化米だけで生き延びることを想像してほしい。贅沢は言えないとはいえ、それはちょっと辛いし不安だと思うあなたにお勧めしたいのが「ローリングストック」だ。普段食べているものを少しだけ多めにストックしておき、食べたらまた買い足す。このサイクルをローリングストックといい、国や自治体でも推奨しているのだが、2023年度の農林水産省の調査で、この「考え方を知っており、実践している」のは、わずか23.4%に過ぎない。 では、どんなものがローリングストックに適しているのか。賞味期限が比較的長く、常温で保存でき、かつ我々が日常的に食べるものである。例えば、コンビニの棚を見てみよう。一般的に、主食としては、スパゲッティ、うどん、そば、そうめんなどの乾麺(約2年~3年)、レトルトごはん(半年以上)、レトルトのカレーや麻婆春雨(1年以上)、パスタ用レトルト(6カ月以上)、カップラーメンや袋麵(約3カ月から半年)、袋入り乾燥スープ類(約10カ月)が役に立つ。また、ドリップコーヒー(1年以上)、顆粒コーヒー(2年以上)、ビスケット(10カ月以上)、クッキー(半年以上)、大袋のチョコレート類(半年以上)などの軽食もあれば、心にゆとりも持てる(上記のかっこ内はすべて賞味期限の目安。その時の状況により長短は生じる)。また、自社の宣伝となり恐縮だが、セブンプレミアムのレトルトや乾麺類は手頃な価格設定となっている。例えば、ビーフカレーのレトルト1食で税抜98円、国産こしひかりのパックご飯は3食で税抜323円(2024年8月現在)とスーパーと比べても割安で、質も高い。ぜひ一度試していただければと思う。 乾パンと水の食事とローリングストックを比べて、皆さんはどちらを食べたいと思うだろうか? おそらく後者だと筆者は確信している。 ローリングストックは、乾パンのような防災用非常食をまとめておくのではなく、普段使いの中で消費と補充を繰り返すので、気が付けば賞味期限切れで食べられなくなっているということがなくなる。要するに、日常生活の延長でできる備えなので、あえて防災非常食用の場所をとらなくてもよい。唯一、水の確保には場所をとるがこれはやむを得ない。ローリングストックを本当に必要な時=非常時に役立てるためには、水・鍋・カセットコンロ、カセットボンベなどが欠かせない。大震災では水道・電気・ガスが止まるからだ。水は一人1日3リットルが目安なので、4人家族であれば12リットル=2リットルのペットボトル6本入り1箱が、1日分の必要量である。3日分であれば3箱。茶なども含め5箱もあれば、節約すれば1週間は何とか持つだろう。